[特集]WOWOWインタビュー
2019.5.15
すべて10点満点の井上 抜群の距離把握力
■WBSSバンタム級トーナメント準決勝、もうひとつのカードが日本時間の19日(日)、イギリスのグラスゴーで行われます。WBAチャンピオンの井上とIBFチャンピオンのロドリゲスが統一戦で拳を交えます。
山中 事実上の決勝戦ともいわれている注目のカードですね。井上選手はもちろんですが、ロドリゲスもパワーのある実力者なのでレベルの高い試合になるはず。いまから楽しみです。
■その井上選手は昨年10月の準々決勝で元チャンピオンのファン・カルロス・パヤノ(当時34=ドミニカ共和国)を開始から70秒、右一発で失神させています。
山中 1ラウンドKOというと、お客さんからは『もう少し見たかった』という声が出てくるものですが、あの倒しっぷりは会場の観客やテレビで見た人を十分に満足させるものでした。70秒でファンを満足させられる勝ち方というのは衝撃ですよ。相手の動きを数十秒見ただけで、あのワンツーを当てられるんですから。その前(18年5月)のジェイミー・マクドネル(33=イギリス)戦も衝撃的でしたしね。
■井上選手の優れている点はどこなのでしょうか。
山中 スピードやパンチ力などすべての項目が10点満点なんじゃないですかね。特にどのパンチをどこに当てるか、距離感の把握が早いんでしょう。瞬時に距離や当てるポイントをつかむ能力はずば抜けていると思います。
■課題はありますか。
山中 ないでしょう。以前、井上選手は防衛戦のなかでサウスポースタイルで戦ったことがあったけれど、あのままでも倒してしまうだろうと思ったほどですから。あのとき僕は現役だったので、同じサウスポーという点では誰にも負けたくないと思ったのを覚えています。
■山中さんは8回戦時代に3試合連続1ラウンドKO勝ちを記録していますが、1ラウンドKO勝ちのあとは逆に力んでボクシングが雑になるといったことはありませんか。
山中 僕の場合は日本チャンピオンになる前だったので注目されることもありませんでしたからね。だから3試合目も力まずに戦えました。ただ、井上選手の場合はこれだけ注目されていますからね。本人が一番気にしないようにしていると思うけれど、実際に2試合続けて1ラウンドKOしているわけで、無意識のうちに力みとして出る可能性はあると思います。