試合は、パワーと修正能力の高さを証明した井上の圧巻の勝利となった。1ラウンド目、ロドリゲスが前進しプレスをかけジャブから鋭いフックを狙うと、リングを大きく使った井上が後手に回った。しかし、2ラウンド、開始からスピードを上げた井上が左フックをロドリゲスの顎にヒット。ロドリゲスがダウン。立ち上がったロドリゲスだが左右の ボディをもらい2度目のダウン。ここでロドリゲスは陣営に首を振ったが意地を見せ立ち上がる。しかし、反撃の体力は残っておらず左ボディで3度目のダウン。レフェリーが試合を止めた。
会見場に姿を見せた井上は「準決勝でロドリゲスを相手にこの勝ち方を手にできたことをうれしく思いますし、ホッとしています」と安堵の表情を見せた。司会者から今回の試合は2ラウンドかかりましたがと問われ「そういう見方になりますか」と苦笑いを浮かべ「1ラウンド目にグラスゴーでの慣れない環境で力みがあり、2ラウンド目にはロドリゲス選手の動きに反応しながら修正してそれがうまく修正できたのであの形になったと思います」と試合を振り返った。次戦ついては「まだ何も予測していませんが、ドネアと決勝の舞台で戦えるので、また一から練習を頑張ります」と先を見据えた。
父の真吾トレーナーは「1ラウンドは動きが硬かったので、2ラウンド目はリラックスしていこうよとアドバイスしました」とラウンド間の会話を明かした。決勝進出について「すごいことだと思いますし、そこを目指してやっているので必ず獲ります」と意気込んだ。
続いて、大橋会長は「もともと尚弥には誇りを持っていますが、もっと持てるようになりました。正直、1ラウンド目のロドリゲスの動きは良かったですが。帰ってきた尚弥が『パンチは大丈夫』と言ったので、安心はしました。このボクシング発祥の地イギリスでまた一つ歴史を作ってくれたこと、これから決勝に向けて積み上げられることをうれしく思いますね」と愛弟子の成長に期待した。
井上の圧巻のKO劇を間近で観戦したノニト・ドネア(比/米)は「ナオヤは素晴らしい結果を残した。グレートな経験と、グレートな頭脳、そしてグレートなパワー。本当に素晴らしいボクサーだ。彼との決勝はベストオブベストの試合ができるだろう。自分も今から戦うことに興奮している」とリング上で井上を祝福し健闘を誓った。