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[世界戦特集]2013.8.15

三浦隆司の挫折と栄光3

三浦 隆司
 WBC世界スーパーフェザー級王者、三浦隆司(29=帝拳)の初防衛戦が迫ってきた。8月17日(日本時間18日)、メキシコのカンクンで地元の人気者、WBCの指名挑戦者セルヒオ・トンプソン(29=メキシコ)と拳を交える。「ボンバー・レフトを叩きこんでチャンピオンのまま帰国します」――三浦はそう決意を語って異国に向けて飛び立った。そんな強打のサウスポーの挫折と栄光の29年を紹介しよう。PART3
※三浦対トンプソンは18日(日)午前11時からWOWOWライブで生中継の予定。ゲスト=内山高志(ワタナベ=WBA世界スーパーフェザー級王者)
左で内山を倒すも
 順調に4度の防衛を重ねていた三浦に世界挑戦のチャンスが訪れたのは11年1月31日のことだった。WBA世界スーパーフェザー級王者、内山高志(ワタナベ)に挑戦するはずだったチャレンジャーが病気を理由に急に辞退したため、代役として挑戦の機会が回ってきたのだ。小堀戦の敗戦から引き分けを挟んで8連勝(6KO)をマークしていた三浦は、絶対の自信を持って内山に挑んだ。スタートこそやや出遅れたものの3回には得意の左ストレートでダウンを奪うなど見せ場もつくった。しかし、その後は内山の左ジャブに攻め手を封じられ、8回終了時点で棄権した。
内山の左ジャブが炸裂
 「あのときは世界との差を痛感させられて、もうボクシングをやめようかと思いました」と、三浦は当時を振り返る。やめなかったのは「3回に奪ったダウンがあったから」という。「試合全般をとおしてはダメでしたが、左ストレートでダウンを奪ったことで、自分には世界に通用するものがあるんだと考えることができたんです」
昨年、三垣戦後のリングで
 捲土重来を期した三浦だったが、再起戦も決まらないときに横浜光ジムの宮川和則オーナーが急逝。それを機に帝拳ジムに移籍することになった。前後して彩美夫人と結婚、長男が誕生した。01年は三浦にとって大きな転機となった。
ディアスを破り王座奪取
 移籍から約2年、4連勝(2KO)を収めていた三浦だが、スーパーフェザー級の王座はWBAを内山、WBCを粟生が占めていたため、再挑戦はしばらく先になると思われていた。ところが昨年10月、盤石と思われた粟生が伏兵ガマリエル・ディアス(メキシコ)に不覚。思いがけないかたちでチャンスが巡ってきたのだった。挑戦が内定しかけた今年1月、父親が不慮の事故で亡くなるという不幸が襲ったが、三浦はそれをもエネルギーに変えた。今年4月、三浦はディアスから4度のダウンを奪って9回TKO勝ち、悲願の王座奪取を成し遂げた。
敵地での初防衛に臨む
 鬼門ともいわれる初防衛戦を敵地、しかも指名挑戦者を相手に戦うことになったが、三浦は「自分が成長できるチャンス」とプラスにとらえている。この山を越えると、また新しい景色が目の前に広がるはずだ。