試合日程 | 試合結果 | 動画ニュース | ランキング | 選手検索 |
前WBO(世界ボクシング機構)フライ級王者の木村翔(青木)が19日、都内の日本ボクシングコミッション本部事務局で会見を開き、今春、中国で復帰戦を予定していると発表した。木村は昨年9月に2階級制覇王者の田中恒成(畑中)を迎え3度目の防衛戦を行ったが、フルラウンドの激闘の末、判定2-0で王座から陥落。この一戦は年間最高試合にも選ばれたが、木村はこれまで進退の明言を避けていた。
JBCで行われた会見
紺のスーツをバチッと着こなし登場した木村は、試合後から復帰の決断まで2ヵ月かかったと明かし、「(田中に)敗れてからも応援してくれる人が増えた。あの試合でボクサーとしての経験値が上がったと思うし、今は練習でも伸び代を感じている。負けた原因を突き詰めプラスにしていきたい。ファンの声に応え、もう一度自分を信じて世界のベルトを巻きたい」と決意表明した。すでに1月からスパーリングをはじめ、徐々に練習のペースを上げているという。
木村の伸び代が楽しみと有吉会長
また、"放牧"という言葉を使い、あくまでも本人の決断を尊重した有吉将之会長は、中国での人気がいまだに衰えないこともあり、3月下旬以降に中国本土での復帰戦プランを描いている。「まずはきつい練習ではなく、新しいこと、ボクシングの楽しさを感じさせている。元王者にとって再起戦がどれほど重要かは分かっているので、次の試合に集中させ、世界はその後に考えたい」。試合はノンタイトルを予定しているが、地域タイトルが掛かる可能性もあるそうだ。
年間最高試合となった木村vs田中
木村は17年7月に中国・上海で五輪2大会金メダリストの"中国の英雄"ゾウ・シミンから王座を奪い、シンデレラボーイとして中国でも屈指の人気アスリートとなった。9月の敗戦からこの期間、木村は中国・成都市のジム開きに招かれテープカットを経験し、さらに中国最大のSNS微博(ウェイボー)の日中スポーツ貢献賞に選ばれ、昨年末に日本で開催された授賞式に出席した。各分野で50人ほどの著名人が選ばれたなか、スポーツ部門は木村ただ一人の受賞だったという。
中国での人気は衰えず
「中国語は分からないが、微博を翻訳して『もう一度チャレンジしてほしい』、『諦めないでくれ』といった声が多く驚いた。今まではベルトを失ったら終わりだと思っていたが、負けても良い試合をすればファンは離れないんですね。価値観が変わりました」。ファンの声援に励まされ第2章のスタートを切った木村は、「フライ級がベストだが、チャンスがあれば上でも下でも獲りに行く」と貪欲に世界をもとめた。