[公開練習]2026.9.14
那須川天心が崖っぷちから逆襲へ! 井上拓真攻略に自信
WBC(世界ボクシング評議会)バンタム級1位の那須川天心(28=帝拳)が14日、都内の帝拳ジムで公開練習に臨んだ。
那須川は、9月27日(日)、東京・TOYOTA ARENA TOKYOで開催される「Prime Video Boxing 16」のメインイベントで、王者の井上拓真(30=大橋)に挑戦する。両者は2025年11月にWBC世界同級王座決定戦で激突し、井上が判定勝ちでベルトを獲得。那須川にとってはプロボクシング転向後初黒星となった。
初戦から約10ヶ月。雪辱を期す那須川は、技術、戦術、精神面のすべてを磨き上げ、世界王座を懸けた大一番で再び井上と拳を交える。
再戦では、挑戦者として誰の目にも明らかな勝利が求められる。王者を攻略し、ボクシング転向後に掲げてきた世界王者という目標をつかみ取ることができるのか。宿命のリベンジマッチを目前に控えた那須川が、現在の仕上がりと初黒星から積み重ねてきた覚悟を報道陣に示した。
「9月27日は一生懸命に生きてきた答え合わせの日」
国民的知名度を誇る那須川の公開練習とあって、この日は数多くのメディアが詰めかけた。決戦を2週間後に控えた那須川は、「毎日、いろいろな葛藤がありながらも、しっかりとメニューをこなしてきた自負がある。この日に向けて一生懸命生きてきた答え合わせの日になる」と、307日ぶりの再戦に強い決意を示した。初戦後に積み重ねてきた時間のすべてを、リング上で証明するつもりだ。
初黒星を喫した後は、「ここまでボクシングが好きなのに振られるのか」と思い悩んだ時期もあったという。「自分で考え込んだり、抱え込んだりするタイプだが、友人やチームに支えられてきた。改めて一人じゃないんだなと思った」と振り返った。周囲の支えを力に変え、再び大舞台に立ち向かう気持ちを固めた。
井上と井岡一翔の一戦を見た那須川は、「以前より強くなっていて、自信がついている」と王者の進化を分析した。「自信をつけさせてしまったのは自分なので。本当に強いチャンピオンなのでリスペクトしている。誠意を持って挑む」と、井上への敬意を口にした。王者の強さを認めた上で、初戦とは異なる姿をぶつける覚悟を示した。
「誠意をもって挑む」
初戦では、井上の巧みな距離感と試合運びに苦しめられた。那須川は、「前回は自分が知らない間合いやボクシングをされたが、父とのミット打ちや葛西さんに教えてもらったことで原点回帰した」と語った。未知だった井上のボクシングを一度経験し、自身の持ち味をあらためて磨き直したことが攻略への手応えにつながっている。
前戦のファン・フランシスコ・エストラーダ(36=メキシコ)戦からコンビを組む葛西裕一GLOVES会長は、「エストラーダ戦より、パワー、スピード、戦い方が上がっている。井上チャンピオンは強いが、良い試合ができる」と成長に太鼓判を押した。那須川自身の感覚だけではなく、指導する葛西会長も着実な進化を感じ取っている。
格闘技人生で初めて敗れたことで、那須川には心境だけでなく、日常の振る舞いにも変化が生まれた。「これまでは、ここぞという時に引いてしまったり、物を言えなかったりするところがあったので、日常生活から意識した」と明かした。リング上で勝負に踏み込むために、普段の生活から自分の意思を前面に出すことを心掛けてきた。
普段から引かないことを意識
下馬評では王者有利の声が多い。それでも、那須川は「こんなに負け予想が多いのは、これまでなかった。崖っぷちでピンチだが、そっちの方が面白い。だからこそ面白い。世界をひっくり返す」と力を込めた。圧倒的な注目を集めてきた男が、追う立場からボクシング人生最大の逆転劇を狙う。
リベンジマッチに臨むのも、格闘技人生で初めてだ。「100%勝てるかというと、そうじゃない自分もいる。でも、もう一人の自分が『できるぞ』と言っている。皆の応援が力になる。後押ししてほしい」と、胸の内にある揺れも隠さなかった。不安を抱えながらも前へ踏み出そうとする覚悟が、言葉の端々から伝わってきた。
会見後には、シャドーボクシングを2ラウンド、ミット打ちを2ラウンド、サンドバッグ打ちを1ラウンド披露した。ミット打ちでは、角度を変えたジャブから伸びのある左ストレートを打ち込み、体が密着した場面を想定して相手をほどく動きも確認。小型サンドバッグには、軽快なリズムからテンポよくパンチを打ち込んだ。
公開練習には、大橋ジムから北野良トレーナー、鈴木康弘トレーナー、井上浩樹(34)の3人が偵察に訪れた。北野氏は、「重心を落として、以前と少し変わっていた。トレーナーが代わって、どう変化するか。返り討ちにするだけ」と語った。那須川の変化を認めながらも、王者陣営に揺らぎはなかった。
鈴木氏は、「しっかりと汗も出ているし、力強いミット打ちをしていた」と那須川の仕上がりを評価した。その上で、「どういうボクシングをしてきても、拓真を勝たせるだけ。一つ言えるのは、拓真はめちゃくちゃ強い」と断言した。挑戦者がどのような戦術を用意してきても対応できるという、井上への絶対的な信頼をうかがわせた。
井上浩樹は、「いろいろな意味で地に足がついているなと思った。負けたことで踏み込みができるようになった」と、初戦からの変化を感じ取った。大橋ジム陣営も、初黒星を経験した那須川の精神面と攻撃への意識を警戒している。
敗北を受け入れ、葛藤を乗り越えてきた那須川が、進化した王者に挑む。初戦から307日を経て迎える再戦は、世界王座だけでなく、両者の意地とボクシング人生を懸けた大一番となる。運命のゴングまで、残り2週間を切った!
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