井上尚弥とキム・イェジュンが初対面!

　会見の冒頭、大橋ジムの大橋秀行会長は、「試合の延期、対戦相手の変更。そして、武居由樹の負傷。ファンの皆様には大変ご迷惑をおかけしました。心よりお詫び申し上げます。そして、この状況下にも配信してくださるNTTドコモ様、Lemino様、ボクシング関係者の皆様に感謝申し上げます」と挨拶した。

　続けて、「キム選手が快く挑戦を受けてくれた。韓国は10年近く世界チャンピオンが誕生していなく、日本で行われる日韓の世界戦は20年ぶりだと聞いている。キム選手は並々ならぬ覚悟でリングで上がってくる」と代役で挑む韓国のチャレンジャーを警戒した。

「長期間での調整がプラスに働いた」

　マイクを握った井上は、「2度の中止と、試合日程が1ヶ月ずれたことで練習のスケジュールが狂ったが、このスケジュールで調整して思ったことは、長期間で体を仕上げることは、自分にとってすごくプラス。この先、ビッグマッチをしていく上で、この調整を入れていくことがベストだと思った」と収穫を口にした。

　ボクシング人生最大のチャンスを掴んだキムは、「1ヶ月前から調整してきたので問題ない。井上と試合をするのは、すべてのボクサーにとって光栄なこと。しかし、楽に終わらせるつもりはない。詳細は明かせないが、私のスタイルでKOする。初回から全力を尽くす」と気持ちを高めた。

　この日が初対面かと思いきや、かつて井上が韓国での合宿でスパーリングをした際、ジムで見学したという。キムは「今日、会ってみて(井上は)思っていたより小さいと思ったが、その分心が強い印象」と語った。

「思っていたより小さいと思った」

　井上が前回の試合で戦ったTJ・ドヘニー(アイルランド)戦に続いて、来日したマイク・アルタムラ・プロモーターは、「この試合を実現させてくださった関係者に感謝している。直前に決まった試合だが、できる限りのことをして井上を苦しめたい。日本対韓国で熱い試合になる」と語った。

　改めてキムの印象を聞かれた井上は、「映像はサラッとしか見ていないが、スイッチヒッター。あとは25年間の自分のボクシングキャリアの引き出しを信じて戦う」と話すと、「サム・グッドマンとの対戦を楽しみにしてくれていた方には、非常に申し訳ない気持ちだが、キム選手が代役で受けてくれたことに感謝している。最大限にリスペクトしてバッチリと仕上げた。当日も全力で挑む。当日を期待して楽しみにしてください」と、最高のパフォーマンスを約束した。

　記者による質疑応答では、挑戦を断念したグッドマンについても質問が及んだ。「今後、グッドマンと戦うつもりはあるのか?」という問いに対し、「2度目の怪我を聞いた時は、どういう対策を練って練習してきたのか、と少し疑問に感じたが、しっかりとトレーニングをして挑んできたんだな、と率直に思った。怪我での中止でランキングは落ちないと聞いているので、どこかのタイミングで戦わないといけないのかなと思っている」との考えを示すと、「あとは大橋会長に任せている。今後のことは、この試合が終わってから」と話すにとどめた。

　キムの「1ラウンドから全力でいく」というコメントに関し、「攻撃全面でいくのか、ボクシングIQを立てて全力でいくのかで変わってくる。リング上でじっくりと作業していきたい」と意気込んだ。

　この試合をクリアすれば、4月には米国ラスベガス、さらにサウジアラビアでのビッグマッチが予定されている。「今年は海外進出の年ということで、次はすごく大事な試合」と位置づけを示すと、「リヤドとの契約したことで、ボクシングキャリアをさらに加速させていきたい。自分がやるべきことは変わらない。しっかりと結果を出すだけ」と言葉に力を込めた。