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大掛かりな宣伝プロモーションに頼ることなく、まさにリングの中でのパフォーマンスでファンを魅了してきた井上尚弥(31=大橋)は、2014年4月6日に最初の世界王座となるWBCライトフライ級王座を獲得しているが、2024年8月時点では約6.4s重いスーパーバンタム級王座に君臨している。王座を返上して次の王座を獲得するまで、短期間の無冠時期はあるものの、この10年間のほとんどを世界王者として過ごしてきたことになる。
■兄弟世界王者
井上は2歳半下の弟・拓真とともに兄弟世界王者でもある。兄の尚弥がWBA世界バンタム級王者時代の2018年12月に、弟の拓真が同じバンタム級のWBC暫定王座を獲得。翌年11月に拓真が敗れて無冠になったが、2023年4月にWBA世界バンタム級王座を獲得した。その3ヵ月後、兄の尚弥がWBC、WBO世界スーパーバンタム級王座を獲得したため再び兄弟同時の世界王者となった。
日本での兄弟世界王者は、ほかに興毅、大毅、和毅の亀田3兄弟、優大、銀二朗の重岡兄弟が成し遂げている。
■70秒KO防衛
2018年10月7日、横浜アリーナで行われたWBA世界バンタム級王座の初防衛戦で元王者のファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)を芸術的ともいえる右一発でKO。この70秒KO勝ちは、日本人が出場した世界戦KO勝ちの最短記録でもある。
ちなみに、井上はパヤノ戦の4ヵ月半前にジェイミー・マクドネル(イギリス)を1回1分52秒TKOで粉砕してWBA世界バンタム級王座を獲得しており、2018年は2試合合わせて3分2秒で仕事を終えた計算になる。
なお、敗北の方では2002年にタイで内藤大助(宮田)がWBC世界フライ級王者のポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ)に喫した1回34秒KO負けという記録がある。内藤はのちにポンサクレックに雪辱して、戴冠を果たしている。
■世界戦で11ヵ国の選手と対戦
井上の22度の世界戦の相手の出身国を見てみると、最も多いのがフィリピンの5人で、メキシコの4人、タイの3人が続く。このほかアメリカとイギリスが各2人で、アルゼンチン、日本、フランス、ドミニカ共和国、プエルトリコ、オーストラリアがそれぞれ1人となっている。地域でみるとアジア、ヨーロッパ、北米、南米、オーストラリアと5大陸にまたがっている。