[ショートインタビュー]2025.6.30
加藤健太トレーナーの研究心がすごい!

2019年、2022年の年間最優秀トレーナー賞を受賞している加藤健太トレーナー(三迫)は、WBA(世界ボクシング協会)・WBC(世界ボクシング評議会)フライ級統一王者の寺地拳四朗(33=BMB)や、WBO(世界ボクシング機構)女子スーパーフライ級王者の晝田瑞希(29=三迫)をはじめ、トップ選手から4回戦ボクサー、キッズボクサーまで幅広く指導している。
選手の長所を伸ばし、相手の弱点を突く技術に定評がある名トレーナーとして知られている。しかし、加藤氏は現状に満足せず、5月に拳四朗とともに米国ロサンゼルスへ渡り、2週間にわたって米国スタイルを徹底的に学んだ。トレーナーとして、さらなるレベルアップを目指しての挑戦だ。
加藤氏は「拳四朗がトニー(アンソニー・オラスクアガ=米/WBO世界フライ級王者)や他の外国人選手と戦うようになり、海外特有のボクシングを感じるようになった」と語った。「日本のボクシングと海外のそれは、強さの概念が少し違うと感じていました。例えばステップワーク。一瞬の技術に特化している強さもありますが、海外のボクサーはフィジカルを使う強さです。「日本では良し」とされるものが海外では通用しないことも多く、そのギャップを埋めたかった」と、米国への学びを決意した背景を述べた。
また、「日本ではバックステップで距離を取ることが『良し』とされるが、海外では体を浮かせることは避け、よりサイドに出る動きが重視される。体が浮くことが良くないとされる考え方に触れ、自分もそれを理解しながらも、どう教えて良いか分からず、選手に、どう落とし込むのかを知りたかった」と、具体的な学びの狙いを明かした。
最初の一週間は、晝田の防衛戦を控えたサポートのためマニー・ロブレストレーナーの指導を間近で学び、その後、ロサンゼルスにあるルディ・エルナンデストレーナーのジムを訪問した。「米国のボクシングを丸ごと見るというより、ルディのボクシングを徹底的に観察した。思い描いていた形と少し違いましたが、『ここまで考え抜いているのか』と感心した。指導の細部にまで気を配り、見逃しそうなポイントも丁寧に指摘している」と、自身の体験の価値を語った。
「米国のスタイルを取り入れつつ日本の良さを活かす」
「日本人にしか出せない強さもあり、その強さを極めているのが、拳四朗と晝田だと思う。一方で、ピンチになる場面も共通している。日本ボクシングの弱点を突かれている場面もある。米国のボクシングを取り入れつつも、日本の良さを活かさなければ、バラバラになってしまいます。晝田も日本と米国のスタイルを融合させている状態です」と分析した。
「米国のスタイルを理解し対応できるように指導する」
加藤氏は「日本のボクシングの良さを完全に引き出しながら、米国のスタイルも理解し、対応できるようになることが、今後の鍵だ」と主張する。さらに、「アジアのトップになり、避けて打ってのスタイルで海外に出ると、勝てない。なぜ、日本やアジアで通用していたスピード、テンポ、ステップワークが通用しないのか。その答えが米国にある」と指摘する。
「拳四朗には、まだまだ伸びしろがある。同じ強さの概念の選手と戦えば負けないが、概念の異なる選手と対戦すると危険もある。次戦は米国人との対戦なので、かなり危機感を持って臨んでいる。日本のボクシングの良さを示しながら、『そのスタイルは知っているよ』と相手に伝えられるように戦ってほしい」と、次戦への意気込みを語った。
加藤氏の研究心と現場への探求心は、今後の日本ボクシング界に新たな風を吹き込むことは間違いない。
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