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WBA(世界ボクシング協会)世界バンタム級チャンピオンの堤聖也(29=角海老宝石)が24日、元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(29=志成)を挑戦者に迎えて、初防衛戦に臨んだ。この2人の対戦は、4年4ヶ月ぶり。前回はバンタム級ノンタイトル10回戦で対戦して、ドローだった。

中間距離を保った初回、堤のジャブに対して、比嘉は左フックと右の打ち下ろしをカウンターに合わせた。2回は互いに左ボディを合わせた。3回は右アッパーを出した両者。比嘉の右が堤の顔面を捉えた。4回、偶然のバッティングで堤が右目上をカット。テンポアップした両者が距離を詰めて打ち合った。ジャブからの比嘉フックが光った。中盤は比嘉の右が効果的だったが、堤も先に仕掛けて手数を増やして、コンビネーションも見せた。比嘉の右は顔面をしっかり捉え始めた。


試合後、リング上でフラッシュインタビューに応じた堤は「比嘉選手が強かった。情けない気持ち。慎重になりすぎたラウンド、心の弱さが出た試合。強くなりたいと信じてる」と試合を総括した。
ダウンシーンについて、「1ラウンドから本気の比嘉大吾が伝わってきて、緊張感がある試合だった」と振り返り、「ダイゴありがとう。試合勝ってないんで、大っきいこと言えないんで、大っきいこと言えるようにもっと強くなります」と、拳を交えた拳友に感謝の気持ちを伝えた。

比嘉は試合後、「覚えておりません。すみません。記憶が飛んでますね」と切り出すと、ダウンシーンに関しても「試合が終わって、記憶が飛んでますね。リングに上がったのと、前半は覚えている」と照れ笑いを浮かべ、試合後に声を掛け合ったことには、「ありがとうじゃないですかね」と、感謝の気持ちを伝えたことを明かした。
覚えてない比嘉大吾
記憶を辿るように、「前半のジャブの差し合いを覚えてる。ジャブは大事だと思っていた。頭が痛いので、良い試合でだったんだと思います」と淡々と言葉を続けた。地元からも多くのファンが会場に多く駆けつけてきたことに比嘉は「沖縄は熱いですね。沖縄からもいっぱいきてくれて、ありがたいですね」と感謝した。少し記憶が戻ってきた比嘉は、「前半ちょっとボディ効いてた。ダウンの後、感覚がなかったので、(逆に)よかった」と述べ、「堤選手は精神が強い。気持ちも強い。デタラメ言ってるけど、俺も気持ち強かったですよね。ダメですかー」と記者に逆取材した。
勝ちきれなかった
野木丈司トレーナーは、「9ラウンドにダウンを取って、良しと思ったのは、束の間。戻ってきて、『自分は今どこにいますか? 誰と戦ってますか?』と聞いてきたので、あの一発は、それだけの打撃でしたね」と愛弟子をおもんぱかった。その上で、「当ててたパンチも多かった。欲を言えば、最後まで行きたかった。正直、判定はダイゴかなと思いました。最終ラウンドの前に、誰と戦ってるのかを聞いてきたので、堤聖也だぞって答えて、絶対に勝ってこいと伝えました。もう一回、ダウンを取りたかった。全てを出し尽くしたかー。比嘉はもう少しいい選手。勝ちきれないところは、甘くない現実。今までにない感情です。後半は糠に釘打ってる感覚。(比嘉の)記憶を取り戻すための声かけだけだった。勝てなかったことのみです」と試合を振り返った。
進退は明言せず
進退に関する質問には、「前回の試合後、引退するって言ってから3ヶ月は、苦しかった。覚えてないので、みんなの方が悔しいでしょうね。勝てれば一番良いけど、この3ヶ月があって、良い試合、この試合があった。よかったんじゃないかと思う。結果はついてこなかったですけど。少し休んで、記憶ある時に試合を見てみたい。もうこれ以上、頭打たれたくない。辞める辞める詐欺になる」と、明言は避けた。

試合後、堤は「勝ちきれず引き分けで悔しいが、首ひとつ繋がって安心もしており、何とも言えない感じ」と安堵の表情を見せた。「比嘉との世界タイトルを楽しもう、自分自身のやって来たことを信じる気持ちでリングに上がった。試合を終えて『強かったよ、ありがとう』と感謝を伝えた」と、戦友に感謝の気持ちを伝えた。
試合内容については「バッティングからは、常に目に血が入ってきてずっと見えていなかったが、(カットは)ここ数戦続いているので、またかという印象。スパーリングを含めて人生で初めてのダウンで、フワって感じで、落ちる瞬間はゆっくりで、これがダウンかと思いゾクゾクしたが、いつもダウンも想定に入れてきたので、冷静に試合を進めた。場面場面では予想通りの展開だったが、相手がカウンター狙いを徹底していて打開出来ず、思いのほか打ち合いにならず悔しい。流れの中でパンチを出し、気付いたら倒れていた。終わらせたかったが詰めが甘かった、決めきれなかったのは自分の弱さで、そこは悔しい」と語り、採点については、「手応えはなく、比嘉がチャンピオンでも文句を言えない内容だった」と、冷静に口にした。最後は「もし再戦の話が来ても、あまりやりたくないですよ。あいつがボクシングを続けるかどうかはあいつ自身の判断で、自分は何も言えないけど、もうやりたくないですよね」と、比嘉との一戦はやりきった印象で、再戦に関しては、やんわり否定して会場を後にした。
石原雄太トレーナーは、「想像以上に距離を取られ、対策をされていると感じた。(9ラウンド後のインターバルで)ポイントは厳しいと思い、次で試合を決めに行けと伝えた」と、振り返った。