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WBO世界バンタム級タイトルマッチが開催された日本時間の15日、国内で生中継したWOWOWのスタジオでWBAスーパー・IBF統一チャンピオンの井上尚弥(28=大橋)がテレビ観戦した。
WBOチャンピオンで井上に挑発を繰り返してきたジョンリエル・カシメロ(31=比)との対決に向けたカウントダウンも始まる中、「倒します」とKO宣言した。この日は、アグレッシブな面が全くないギジェルモ・リゴンドー(40=キューバ)との対戦で、判定勝利を挙げはしたものの不完全燃焼に終わったフィリピン出身のライバルに同情する場面もあったモンスター。
次戦は年末か 相手はドネアかカシメロ
――カシメロ対リゴンドーを見終わった感想は?
井上 カシメロと戦いたいと思っていたので、結果としては良かったんじゃないですかね。あの内容でリゴンドーの勝ちと出るよりは。
――戦前はどんな展開と結果を予想していましたか。
井上 カシメロが勝つならKO、リゴンドーが勝つ場合はKOと判定の両方があるかなと思っていました。カシメロが判定で勝つというのは予想外でした。
――カシメロの勝因は?
井上 やることをやっただけという感じなので、勝因というほどのものはないのでは。あとは運でしょうね。ジャッジの見方も割れたわけですから。
――カシメロが残ったことで、井上選手のモチベーションは上がったのでは。
井上 その方が盛り上がるじゃないですか。リゴンドーだと盛り上がらないし、自分のモチベーションも上がらないだろうし。
――リング上でカシメロが井上選手の名前を出して挑発していましたね。「このヤロー」という感じですか。
井上 そんな気持ちしかないですね。これで戦う可能性が高くなったんでね。
――たびたびの挑発は気になりますか。
井上 いい影響しかないですよ。こっちのモチベーションを上げてくれるし、それに相手が勝手に(イベントを)盛り上げてくれるので(笑)。
――カシメロとはどう戦うつもりですか。
井上 きょうの試合を見てもカシメロのイメージは変わらないし、どう戦うかということは試合が決まってから考えます。
――カシメロは仕掛けてくるでしょうね。
井上 もちろんそう出てくるでしょう。だったらこっちが迎え撃つだけ。倒されるかも分からないし、こちらが倒すかもしれないし。それは戦ってみないと分からないですね。
――井上選手の口から仮の話としても「倒されるかもしれない」という言葉を初めて聞きました。
井上 それだけ迎え撃つ準備ができている、逃げないよということです。
――少し話がそれますが、井上選手でも恐怖心と向き合うことはあるんですか。
井上 思い切り向き合うのは試合の前日ですね。それまでは自分が勝つイメージをつくったり、よくないイメージをしつつ試合を楽しみにして仕上げているので。だから本当の恐怖感というのは試合の前日、計量が終わってから寝る前ですかね。相手が誰だからというのは関係なく、勝負の世界なので……。
――話を戻します。ドネアとの再戦という可能性もあるわけですが、前回(2019年11月、井上が12回判定勝ち)とは違う展開になると思いますか。
井上 あのときは自分も2ラウンドに目を傷めたし、一度戦ったことでドネアもこちらの手の内が分かっているので戦い方が変わるでしょうね。手の内が分かっている点は同じですが、それがプラスに作用するかどうかとなると戦ってみないと分からないですね。ドネアも誰かと2度戦ったことはないのでは。
転級の時期は未定「バンタム級統一後に考える」
――バンタム級を卒業するタイミングは頭にありますか。
井上 バンタム級の4団体王座を統一してから考えることなので、そのときにならないと分かりませんね。半年後、1年後のことをいま決めてもなんともいえないじゃないですか。いまはバンタム級がちょうどいいし、年内に1試合、来年の春に1試合して、そこで自分の体がどうなって(大きくなって)いるか、それ次第です。
――スーパー・バンタム級に上げてからのプランは思い描いていますか。
井上 全然、何も決まっていないので。スーパー・バンタム級のチャンピオンもチェックしていないし、いまはバンタム級の2試合しか頭にありません。
――現時点で、100点満点のうち自己採点は何点ですか。
井上 引退してからじゃないと決められないかな。振り返って「あのときが何点だったかな」とか。もしも自己採点が80点だとしたら、伸びしろが20点しかないじゃないですか。そんなことは自分では決められないですね。
――では、いまの自分に足りないものがあると感じますか。
井上 少なからずありますが、具体的に何かというのは見当たりません。スパーリングをやっていても、いろんな相手とやりながら新しい発見ができる。いま、この瞬間、これができたなというのがあるんですよ。瞬間、瞬間、自分が思ったことができたと。それって、けっこう楽しいんです。
――追われる立場ということは意識しますか。
井上 そもそも追われる立場という意識がないんです。だって次の2試合の相手は他団体のチャンピオンになるわけで、もしもスーパー・バンタム級に上げたとしたら、その階級のチャンピオンがいる。だから自分は追う立場じゃないですか。
――いまはジムワークをしている状況ですね。
井上 試合が終わって1ヵ月半、次の試合が決まっているわけではないので、いまは基礎トレーニングで全体の底上げをして段階です。
夏場は暑いので日が落ちてから走っています。そうしないと質のいいトレーニングができないので。動きが切れる状況にするためジムではクーラーをつけて練習しています。
――あらためて次戦の時期について聞かせてください。
井上 相手に関してはドネアかカシメロで、年内の対戦で交渉中というところです。場所は日本かアメリカになりそうです。
なおWOWOWでは、井上尚弥が父・真吾トレーナーと生放送で初共演し、自身のマイケル・ダスマリナス戦振り返りをはじめ、バンタム級4団体統一の野望やスーパー・バンタム級への転向など今後についてたっぷり語った『「井上尚弥」出演!ラスベガス防衛戦の軌跡』を、WOWOWオンデマンドで限定配信中!
本日の『WBO世界バンタム級タイトルマッチ ジョンリエル・カシメロvsギジェルモ・リゴンドー』は、16日(月)夜9時00分からの『エキサイトマッチ〜世界プロボクシング』内でもお届けする。
<関連情報>
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