[試合後会見]2014.3.8
不満の残る決着
顔面をぶち抜く
 日本ライト級11位の斉藤司(23=三谷大和)が元日本スーパーフェザー級ランカーの山元浩嗣(30=ワタナベ)と、契約ウェイト8回戦で7日の後楽園ホールのメインを飾った。昨年3月のWBCユース・ライト級王座陥落後、復帰戦2連続KO中の斉藤と日本ランク返り咲きを狙う山元の注目の一戦だったが、結果は不満の残る決着となってしまった。
山元は採点表を手に
 昨年は、2月にランクを失い3連敗を喫するも、12月の元ランカー対決を制し黒星を止めたサウスポーの山元。2戦ぶりのランカー挑戦に初回から右に回ってはジャブを突くなど、高い集中力を見せた。対し、ジリジリと圧力を掛ける斉藤は、山元の間合いにタイミングが掴めず勢いにのれない。コツコツとヒットを重ねるベテランの山元に気迫を上手く流され、ポイント不利のまま終盤に入った。
ドクターチェック
 しかし6R、バッティングで斉藤が左目上を負傷。偶然のバッティングかと思われたが山元に減点が課せられた。再開後、斉藤は圧力を強め、7R終盤には右のショートを入れるが決定打にならず。このまま山元の逃げ切りかと思われたが、ドラマは最終ラウンドに潜んでいた。
レフェリーは危険と判断
 焦る斉藤が強引に距離を詰め、ワンツーの連打で山元を追い込むと、前にバランスを崩したところに右フックを入れ、引きずりながらもダウンを奪う。「それでもまだ2~3ポイントリードしていると思った」と試合後に振り返った山元は、すぐに立ち上がり試合再開。斉藤は一気にラッシュを掛け、ガードの上からでもパンチを叩き込む。残り数十秒、それほど危険な場面とも思えなかった。だが、間近で見ていたレフェリーは、ロープを背負い打ち込まれる山元を危ないと判断。ゴング22秒前でストップをかけた。この判断にワタナベ陣営は猛抗議するも采配は覆らず、渡辺均会長は「後日正式に抗議文を送る」と憤りを見せた。7Rまでの採点は、69-65、69-64、68-65で山元がリードしていた。
落ち込む山元
 あの場面、山元はクリンチに行く方法もあったが、中盤に一度注意されていたこともあり躊躇した。「きれいに戦おうとしてしまった。最後のラッシュも効いてはいない」は、試合後の言葉。あと一歩、こんなことがこれまでにも2度あった。怒りのぶつけ先のない山元は、顔を手で押さえた。
斉藤は反省の弁
 一方、斉藤の傷は10針を縫う深さだった。応急処置を終えた斉藤は「プレッシャーを掛けてボディは入っていたが、自分のリズムでボクシングをさせてもらえなかった。反省ばかりです」とコメント。倒した右フックには手応えがあったようだが、今日の勝利は「運と気持ちだけ」と、後味の悪い結末に唇を噛み締めた。