[公開練習]2013.8.14
村田が4Rのスパーを披露
右ストレート一閃
 25日に東京・有明コロシアムで行われる東洋太平洋ミドル級王者、柴田明雄(31=ワタナベ)とのプロデビュー戦に向け、ロンドン五輪金メダリストの村田諒太(27=三迫)が14日、帝拳ジムで公開練習に臨んだ。4ラウンドのスパーリングでは相手に終始プレッシャーをかけ、重量感のあるパンチを上下に散らすなど好調を感じさせた。
注目の会見
 村田は7月中旬から米国ラスベガスでトレーニングを続け、8月10日に帰国。米国では元世界ランカーのマイク・ジョーンズ(米)ら5人を相手に連日スパーを重ね、合計で100ラウンドを超えたという。「マイク(ジョーンズ)の場合がパンチ力であるように、何かを持っていないと上のレベルに行けないということを感じました」と村田は話す。スパーは最長で8ラウンドを経験したという。「アウトボクサーともファイターともやりました。長いラウンドをこなせるようになったということは(課題とされた)、バランスが良くなっているということ。自分でも成長を感じています」と胸を張った。
トレーナーのサラスと
4月からコンビを組んでいるイスマエル・サラス・トレーナーは「毎日、彼が一生懸命にトレーニングする姿を見ていて、なぜ村田が金メダルを取ることができたのか納得できた」と愛弟子の努力を評価した。これに対し村田は「サラスさんにはプロではどうスタイルをチェンジすればいいのか明確に教えてもらえる。決して魔法みたいなことはなく、ベーシックなことを徹底することが強くなる道だと分かりました」と、こちらも師に全面的な信頼を寄せている。
ボディを見ている
 この日は帰国から4日目ということで「まだ疲れが残っている」(本田明彦会長)なかでのスパーとなった。パートナーのウェズ・コッパー(24=豪)は、ラスベガスで村田と40ラウンド近いスパーをこなした選手。プロでは3戦全勝(2KO)とキャリアは浅いが、アマ27戦(25勝2敗)のほかキックボクシングでは34戦(29勝4敗1分)の経験を誇り、マイナー団体の世界王者になったこともある。そんな相手に村田は体でリズムをとりながら圧力をかけ、ワンツー、左ボディブローを見舞うなど自分のペースでラウンドを重ねた。遠征の疲れもあるのか力をセーブした印象のスパーだったが、随所で強打と巧打を見せつけた。パートナーを務めたコッパーは「村田は日々強くなっている。金メダリストとはいえアマチュア選手がプロに転向した場合、戦い方の違いに戸惑うはずだが、すでに村田はプロ仕様になっている。100パーセントの確率で世界チャンピオンになると思う」と絶賛していた。
黙々と練習
 スパーのあとサラス・トレーナーとのミット打ち、パンチングボール、ロープ跳び、シャドーなど、この日は計1時間半近いトレーニングを披露した。一連の練習を間近で見た帝拳ジムの浜田代表は「1年前と比べてボクシングの幅が格段に広くなっている。以前は接近してからボディを打っていたけれど、いまは接近する前から打てる。左ジャブ、右ストレート、そしてサイドに出て左フックのボディブローを打つなど、これまでにない攻撃ができるようになった。この短期間で多くのことを身につけた」と感心しきりだった。
さらなる進化を
 ボクシングファンのみならず世間の注目も集める金メダリストのプロデビュー戦まで、あと11日に迫った。