[試合後会見]2013.8.13
神の左は炸裂したか
山中慎介
 WBC世界バンタム級王者、山中慎介(30=帝拳)対同級8位ホセ・ニエベス(32=プエルトリコ)のタイトルマッチ12回戦は12日、東京・大田区総合体育館に4000人の観衆を集めて行われた。圧倒的な強さで3度の防衛を重ねてきた山中。「神の左」と形容される左は今回も炸裂したのか。
強い
 サウスポー同士の一戦。先手をとったのは山中だった。相手に圧力をかけながら踏み込みのある右ジャブで煽る。自慢の足で後退とサークルをしながら間合いを外そうとするニエベスだが、早々に苦しい展開に追いやられる。ニエベスの右ジャブで山中のアゴが跳ね上がるシーンがあったが「あれはジャブを待っていて、抜いて打とうとして抜きそこなったもの」と山中は振り返っている。これがニエベスの唯一の見せ場だった。ラウンド終盤、山中の左ストレートが挑戦者の顔面を打ち抜くと、ニエベスは自コーナーに後退するようにしてダウン。レフェリーのカウント途中で立ち上がりかけたが、その直前にカウントは10に達していた。
速攻
 3分足らずで夢を砕かれたニエベスは、右目を気にしながら落胆の色をみせたまま会見に応じた。「タイトルのないままプエルトリコに帰ることになり、残念で悲しい。山中の左は見えなかったけれど、狙ったパンチではなくたまたま当たったものだと思う。効いたパンチではなかったけれど、続けようと思ったところでレフェリーに止められてしまった。試合が始まったばかりでリズムがとれていないまま終わってしまった」
ニエベス
 一方、3試合連続KOでV4に成功した山中は、テレビの放送席で試合を振り返ったあとKO劇から約1時間後に会見に臨んだ。本人が「ノーダメージです」というように、顔は試合前とまったく変わりなかった。「いまからという感じでしたね。もう少しやりたかったというのが本音です」と、笑顔をみせた。フィニッシュブローの手応えについては「少しだけでした。その前の左ストレートの方が効いていたんじゃないですか。距離が思ったよりも近く、相手のパンチも分かったので落ち着いて戦えました」と振り返った。
和毅はファイティング原田さんと黄金のバンタム記念撮影
 リングサイドでは、11日前に同じバンタム級のWBO王座を獲得したばかりの亀田和毅(亀田)が観戦していた。「どこにいたのか分からなかった」という山中だが、他団体王者との統一戦には興味を示している。「WBOにこだわらずWBAでもIBFでもいいので、統一戦をやりたいですね。(WBAのスーパー王者)アンセルモ・モレノもいましたね。とにかく強い相手と戦っていきたい」
まだまだ続く
 ゴッド・レフトの勢いは、当分続きそうだ。