この日はWBA世界フライ級13位・村中優(フラッシュ赤羽)がパートナーを務め、井上と5ラウンドのスパーリングで拳を交えた。
　序盤から井上が強烈なプレッシャーを掛け、鋭い踏み込みからジャブの連打を村中に浴びせ、右ストレートを上下に打ち分け早くも主導権を握る。中盤、村中もジャブでリズムを組み立て、サイドに動きながら左ボディ・左フックで反撃に転じ、右ストレートを打ち込む。しかし井上は右クロスから接近戦を仕掛け、コンパクトな左右アッパー・左フックを突き刺しロープに押し込む。最終ラウンド、両者は打撃戦に打って出るが、井上の破壊力抜群の左フックが村中の顔面を跳ね上げた場面で終了のゴング。

　パートナーを務めた村中は「本当に強かった。井上君は全てにおいてレベルが高い!!こんなにパンチをもらったのは、試合でもスパーでも初めて…。これまで多くの世界王者とスパーをさせてもらったが、井上君が間違いなく一番でしょう。まだ19歳、将来的にも恐ろしい存在ですね」と井上の才能に舌を巻き、その将来性を絶賛した。

　世界ランカー村中を相手に終始ペースを握り、自分のリズムで5ラウンドを支配した井上はデビュー戦に向けて「仕上がりは全然だし、まだまだこれから上げていかないと。スパーリングも8ラウンドぶっ通しで、全力で戦えないと納得できない」と不満の表情を浮かべる。
　デビュー戦の相手が東洋太平洋ライトフライ級7位クリソン・オヤマオ(比国)に決定したことを井上に尋ねると「自分のボクシングをシッカリとして、流れの中で相手が効いているようならば一気にまとめたい。流れの中で倒したいですね!!」と堂々のKO宣言が飛び出すと、最後に「10月2日は一方的な試合をして、後楽園ホールを沸かせる試合をします。応援お願いします!!」と井上はファンにメッセージを送った。

　10月2日、"聖地"後楽園ホールのリングでそのベールを脱ぐ井上尚弥だが、噂に違わぬ実力を発揮し、"拳神"が一気に世界最高峰まで駆け上がる姿に期待が集まる!!