[村田諒太引退会見]2023.3.28
村田諒太「引退はスタート!」
ボクシング人生に悔いなし!

 前WBA世界ミドル級スーパーチャンピオンで、ロンドン五輪金メダリストの村田諒太(37=帝拳)が28日、都内のホテルで引退会見を開いた。昨年4月には、当時のIBF世界王者ゲンナジー・ゴロフキン(40=カザフスタン)との2団体統一戦が実現し、日本中の注目を集めた。

プロ戦績:19戦16勝(13KO)3敗(1KO)
アマ戦績:138戦119勝(89KO・RSC)19敗

 「今日をもって、プロボクサー村田諒太は引退します」と始めた引退会見。周囲のサポートに支えられて、ボクシング人生を全う出来たことを報告し、「悔いはない」と振り返った。

 帝拳ジムの本田明彦会長、長野ハルマネージャー、浜田剛史代表に対しては、「感謝と重圧の人々でした」と独特の言い回しで感謝を伝え、本田会長との想い出を問われると、WBA王者アッサン・エンダム(仏/カメルーン)と拳を交えた世界初挑戦で、不可解な判定負けを喫した直後に「嫌な気持ちにさせてすまなかった」と声をかけられたことと、ゴロフキン戦に敗れてリングを後をする時に「見ろよ、誰も帰ってないよ」と試合を見守った観客を見渡しながら労いを受け、村田のボクシング人生そのものを最大限に評価してもらったことを挙げた。

 会見後の囲み取材で本田会長は「引退する時に日本では、『お疲れ様』だけど、海外では『Congratulations』引退おめでとうだよ」と思いを伝えた。

2013年8月25日プロデビュー戦
 プロで19戦した村田は「デビュー戦は印象深い。受けなくていい試合を受けてくれた柴田(明雄)さんに今でも感謝しています。6回戦という条件を飲んでくれた。免罪符をもらって、キャリアを作れた。一番緊張した」と振り返った。
最後に那須川天心から花束を受け取った
 帝拳ジムへの想いが強い村田は、「僕の夢の半分は果たした」と帝拳ジムの一員として活動出来たことに誇りを持ち、後輩へのエールも忘れなかった。「帝拳ジムには、那須川くんだけじゃなく、岩田翔吉や村田昴もいる」と切り出すと、それぞれがメインイベントのリングを目指して励むことを託した。最後に花束を贈った那須川天心(24=帝拳)は「『帝拳』ってかっこいい」と、帝拳イズムの継承者としての自覚と覚悟を述べた。
室伏広治スポーツ庁長官も登壇
 この日の会見には、100人ほどのスポンサーや放送関係者も集まった。プロデビュー戦から10年間スポンサーとして、村田をサポートしてきた「マイナビ」には、特別な想いがある。真っ先に「マイナビ」の社名を挙げ、8年間お世話になった「ナイキ」には、ファミリーとして現役を続けられたことに感謝した。「多くのスポンサーさんに支えられて、僕ほど放送局を渡り歩いた選手はいないと思う。フジ、DAZN、Amazon、電通のサポートなくては、僕のプロ人生はなかった。電通のメンバーの方々に感謝しています」と思いを伝えた。
 会見を終え、予定にはなかった最後の囲み取材にも応じた村田は、ゴロフキン戦から今日まで、ボクシング人生を「振り返ることはなかったですね」と前を向いた。今後は、活動の範囲をボクシング界だけに留めず、「自分が得てきた知識や経験を、子供たち、日本、社会のために還元したい」と述べ、「アスリートは夢が叶うと、それ以上の熱量が持てないが、これからのキャリアを作って、競技だけが全てではないことを示す、ロールモデルになりたい」と新たなスタートを切ることを宣言した。