[世界戦後談話]2022.6.7
衝撃の結末! 井上尚弥ドネア再戦。It’s prime time!
ゴング! そして、感謝。

 井上尚弥とドネアの再戦が、日本で開催されたことに感謝したい。さいたまスーパーアリーナで7日、バンタム級3団体統一戦が行われた。赤コーナーからリングに上がったのは、WBAスーパー王座とIBF世界王座の2団体統一チャンピオン"モンスター"井上尚弥(29=大橋)。青コーナーに陣取ったのは、WBCの緑のベルトを掲げてリングインした”フィリピーノフラッシュ”ことノニト・ドネア(39=比/米)。緊張と興奮が会場の空気をピーンと張りつめたものにした。

 選手の呼び出しは、ジミー・レノンJr.。「It's prime time」の一声で、さいたまスーパーアリーナが大声援に包まれた。

2ラウンド1分24秒TKO勝利!
 試合が動いたのは、初回。ステップで井上のパンチを避けるドネアだったが、カウンターに右ストレートを合わせたモンスターが、初回終了間際にダウンを奪った。立ち上がったドネアは2回、自身の回復具合を確かめるように飛び出したが、被弾を重ね、最後は左フックに沈んだ。2ラウンド1分24秒TKO決着。歓喜が待っていた。

 ダメージの影響で、ドネアは試合後の会見を、キャンセルした。
モンスターの右!
 会見場に笑顔で登場した井上尚弥。その前には3本のベルトが並んだ。「我を忘れてリングに上がってしまいました」と、笑顔の大橋秀行会長。「大したもんですね。」とは、父の井上真吾トレーナー。
 
WBA・WBC IBF統一!

 この試合のオープニングパンチとなったドネアの左フックを受けた尚弥は「1ラウンドは絶対に取らなきゃいけないと思っていたので、(左フックを右目にもらって)それ以上のインパクトを残さないとダメだなと、残り10秒で少しだけエンジンをかけた」と、初回にダウンを奪ったシーンを振り返った。それでも、1ラウンド終了後のインターバル中は「行かないよ、と伝えた。2ラウンドは様子を見るよと言ったけど、ドネアの足がふらついてたので、行きました」と振り返ると、「2年7ヶ月前にイメージしていた展開」と付け加えた。

迷わず仕留めに行ったモンスター

 ドネアの試合の入り方に関して、「想像してた中の一つ。プレスをかけて、自分に手を出させてカウンターを狙う展開」と冷静に分析した。リングで対峙した時には、体重の戻し方が気になったという。「戻りきっていないと思った。スピード重視で来ると思った」。試合直前も試合中も落ち着いていたモンスターだが、ドネアの左フックを受けた時の感想を問われると「左フックをもらったので、当て返してやろうとは思いました」と、茶目っ気たっぷりに答えた。「ダウンの瞬間、夢じゃないかと思うほど上手くいった。ドネアだったからこそ、感動を生んだ。誇りに思って、この先に行きたい」。その言葉には、学生時代に憧れたドネアへのリスペクトが滲み出ていた。

モンスター!当面の目標は4団体統一
 今後に関して、スーパーバンタム級に上げることも示唆したが、ベルトが3本並んだのを眺めながら、「リーチがかかったので、まずは、バンタム級で4団体統一」と目標を示した。