[立ち話]2021.3.28
山木ジムの樽井捺月に注目!
樽井捺月(山木)
 日本アトム級5位の樽井捺月(29=山木)は、4月4日(日)に大阪堺市産業振興センターで開催される「REAL SPIRITS.72」で日本王者の長井香織(31=真正)に挑戦する。デビューから4連敗した樽井だったが、山木敏弘会長の下で力をつけると、徐々に勝ち星を積み重ねた。
 同門でWBO(世界ボクシング機構)女子ライトフライ級王者の天海ツナミ(36)の背中を追いかける樽井は、敵地での千載一遇のチャンスに燃えていた。
器械体操からボクシングに転向した
 ボクシングを始めたきっかけが面白い。小学2年から大学4年まで器械体操をしていた樽井は、インターハイと国体で優勝し、オリンピック出場を目指していた。しかし、高校2年時に怪我によりリハビリをする生活が続いた。
 大学4年時にリハビリ先の病院で、元プロボクサーの風神ライカさんと出会い、病院内でミット打ちをしたことで「久しぶりに動いたら楽しくて」と器械体操を引退した後、ボクシングへの転向を決めた。練習先を求めて風神さんとジムを渡り歩き山木ジムに入門した。
「ツナミさんは姉のような存在」
 入門して1ヶ月後に天海とジムの近くで下宿することになり、生活を共にしながらプロを目指した。7歳上の天海を「お姉ちゃんのような存在で、ボクシングをする上で欠かすことのできない人」と偉大な世界王者に尊敬の念を抱く。
「ようやくここまできた」
 タイトル初挑戦の樽井は「デビューから4連敗したが、ようやくここまで来ることができた。ワクワクしている」と決戦を待ちわびていた。
 デビューから初勝利までが長かったが「ボクシングの形だけはできていたので、競技を始めてから半年でプロテストに合格したが、リハビリ期間が長くて一般の人より体力がなかった。スタミナがなくてすぐにバテてしまって負けていた」と、キャリア初期を振り返った。
 当時について、「負けて悔しいというレベルまで練習ができていなかった。辞めようとは思わなかった」と諦めず、走り込みや天海とのスパーリングで体力面のアップを図った。
山木ジム同時王者を目指す
 毎試合、天海がセコンドに付くが、同じ日の2部興行に出場するため次戦は側にはいない。「一度だけ(ツナミさんが)、セコンドに付かなかったこともあったし、大丈夫です」。  樽井が勝って、天海が防衛に成功すれば、山木ジムに同時に2人のチャンピオンが誕生する。「良い形で勝ってつなげたい。いつかチャンピオンになって一緒にベルトを持って撮影したいと思っていた」と、目を輝かせた。
「ベルトを奪う!」
 「これといった武器はないです」と話した樽井だが、小回りの利く動きで相手を翻弄し、見えない角度から打ち込まれるパンチは、大きな武器だ。樽井は「アグレッシブに攻めて面白いと言ってもらえる試合をしたい」と、初挑戦でのベルト奪取に意欲を示した。