[試合後会見]2020.7.12
136日ぶりにボクシングが帰ってきた!
4ヶ月半ぶりにボクシングが再スタート!
 待ちに待ったボクシング興行が12日、愛知県刈谷市あいおいホールで開催された「中部日本新人王戦」から再開した。新型コロナウィルスの影響で3月からボクシング興行はストップしていたが、日本ボクシングコミッション(JBC)が作成したコロナウィルス対策ガイドラインに沿って、無観客試合で再スタートした。
 選手は控室を使わず、会場内に設置されたパーテーションで仕切りを作り接触を避けていた。さらにメディア関係者も体調チェック&行動記録シートを記入し当日に提出。会場に入る際は受付で体温チェックし、リングサイドではなく指定された場所での取材をするなど安全対策を徹底した。
リングサイドの関係者はマスクとフェースシールドと手袋を着用
 会場内に入るとドアを開けて換気していた。さらに客席はなく、記者席はリングから3m離れた場所に設置。カメラマンはバルコニーから撮る形が取られた。
 試合ではインターバル中に3人のスタッフがロープを消毒。さらに1試合ごとにロープとコーナーポスト、うがいバケツの消毒を行った。リングサイドにいるタイムキーパーはマスクとフェイスシールドと手袋を着用し安全対策を徹底した。

 試合前に中日本ボクシング協会、東信男協会長と日本ボクシングコミッションの安河内剛・本部事務局長が挨拶し、歴史的試合のリングに上がる選手に拍手が送られた。
 入場曲はいつも通りに流れるが、リングアナウンサーはリング下でコールした。無観客試合ですぐに気が付いたのはゴング音。観客の声援でかき消されないため、いつも以上に大きな音が鳴り響いていた。
初勝利した松本幸士(HEIWA)
 ボクシング興行再開後、最初のリングに上がったのは松本幸士(30=HEIWA)と星野裕貴(29=中日)。ミニマム級4回戦で行われた試合は初回からダウン応酬の激戦となったが、松本が手数で上回り勝利した。

 2戦目で初勝利した松本は「コロナウィルスの影響でジムワークができないし、試合が行われるかわからないので不安だった」と正直な胸の内を明かしたが、「熊本豪雨で被災した、お世話になっている先輩のためにも何としても勝ちたかった」と嬉し涙を流した。
声援のない無観客での試合に関し、「セコンドの声もよく聞こえたし違和感はなかった」と試合に集中していたことを強調。最後に「今回の試合で無観客試合に慣れていくと思うが、早く元通りにお客さんがいる状態になってほしい」とコロナ収束を願った。
次こそは勝ちます
 「最初にダウンしたのは想定外だった。積極的に攻めることができなかった」と悔やんだのは接戦を落とした星野。ジムが営業再開してスパーリングを始めたのは5月下旬のことで、「もっと実戦練習を積んでスタミナをつけたかった」と肩を落とした。しかし、最後には「試合が行われるか不安だったができて良かった。スタミナと手数を増やす練習をして復活したい」と再出発を誓った。
勇気を与えられたと思う
 第2試合フェザー級4回戦に出場した宮崎裕也(23=薬師寺)は、キレのあるパンチで2度のダウンを奪い圧勝した。ボクシング興行再開後、初のKO勝ちを飾った宮崎は「KO決着になると思っていたので勝てて良かった。無観客試合でスパーリングのような気持ちで試合をすることができたので緊張しなかった」と会心の勝利に胸を張ると、「コロナウィルスの影響で新人王戦が中止になるのではないかと不安だったが、無観客でも試合ができて良かった」とリングに立てる喜びを口にした。
密を避けるために様々な工夫がなされた
 この日、全5試合をレフェリングしたのはレフェリー歴24年のベテラン福地勇治氏(60)。 福地氏は試合毎に新しいシャツに着替えてシューズも消毒して臨んだ。さらに密を避けるため、両選手を中央に呼び寄せての注意事項と、勝利した選手の手を挙げることは止めて、選手との距離を保つことを心掛けた。
 福地氏は「ゴングが鳴ったら特別なことはせず、いつも通りに進めた。選手もいろいろな思いがあって試合をしたと思うが、ケガがなく無事に終わって良かった」と、選手の健康を第一に考えるいつもの優しさを見せた。