[インタビュー]2018.5.19
田口良一の後援会発足の訳
田口良一後援会長 大倉淳氏
 チャンピオンをサポートする後援会発足のニュースを度々お届けしているが、発足までの経緯が少し変わっていたのは、WBA・IBF世界ライトフライ級スーパーチャンピオン・田口良一(ワタナベ)のケースだろう。今回は特別に後援会発足の裏話を田口良一後援会の大倉淳会長にお話を聞いた。
5月20日はダブル世界戦
 当時、日本王座に就ていた田口は、今では世界的にも『モンスター』のニックネームで知られるようになった井上尚弥(大橋)の挑戦を受けることを決意した。判定決着となった2013年8月25日(日)の試合で、田口は日本王座陥落。世界への道のりも遠ざかったと思われた。しかし、周囲の反応は違っていた。勝敗以上に印象付けたのは、田口の激闘ぶり。通常は、タイトル戦に勝った選手のために発足される後援会だが、タイトル防衛戦で敗れた田口を労った大倉淳氏は、この敗戦後に後援会の発足を決意した。
井上尚弥(大橋)vs田口良一(ワタナベ)
■田口選手の後援会発足のきっかけはなんだったんですか。
大倉氏: 「なんで、井上の挑戦を受けたのかを本人に聞いたら、強い相手とやりたかったからです」って言うんですよ。強いやつに勝たないと意味がないとも。だから、応援しようと思って、勝手に私が始めたんです。

■後援会の活動はどのようなものですか。
大倉氏: 後援会といっても、会費を取るわけでもないんです。ただ、試合の前には決起集会をして、終われば祝勝会をしています。でも、会員を募ったりするのではなく、みんなで集まって応援しているだけなんです。でも、田口の人柄なんでしょうかね。人数が増えていったんです。

■世界挑戦できるようにサポートしようということだったんですか。
大倉氏:  実は、そんなことはあんまり考えもなかったんです。ただ、単純に頑張ってる田口を応援しよう、というものだったんです。

■結果的には田口選手は世界チャンピオンにまでなりましたね。
大倉氏: そうですね。でも、本人は全く変わらないですね。初めて会った時と同じで、今も謙虚で周りへの気遣いを人一倍するようなところもありますね。
内山高志氏・坂本博之氏・大倉淳氏
■話は変わりますが、田口選手の着ているスーツにまつわるエピソードがあると伺いましたが。
大倉氏:  田口がサイズが合ってない服を着て取材を受けていたので、スーツをプレゼントしたんです。でも、それがきっかけでスーツメーカーを作ることになったんです。

※大倉後援会長はボクサーや格闘家達から絶大な人気を誇るスーツメーカーVAINQUEURの代表も務めている。
http://www.vainqueur1.com


■田口選手の先輩にあたる内山高志(ワタナベ→引退)なども愛用していると聞きます。
大倉氏: ボクサーは試合前には減量するので、スーツのサイズも試合前後で変わるんですよ。チャンピオン達にはカッコよくいてもらいたいですしね。だから、違うサイズのものを3着用意します。試合が決まってから試合までのどのタイミングでもその時の自分のサイズにピッタリのスーツを着てもらいたいですからね。

 
田口良一(ワタナベ)
 WBA(世界ボクシング協会)・IBF(国際ボクシング連盟)統一王者となった田口良一(ワタナベ)だが、謙虚で周囲への気配りのできる人徳者として、後援会やファンに支持されている。日本タイトル防衛戦に敗れて後援会が発足したというのもチャンピオンの人柄が故。田口の人懐っこい性格と怖さを恐れず、強い相手や大きな壁に立ち向かう生き様が、「自分にはできないことをやっている人を応援したい」と考える大倉会長と引き合わせてくれたのだろう。