[ニュース]2011.4.16
名匠ローチの半生
 5月7日(日本時間8日)、米国ネバダ州ラスベガスのMGMグランドガーデン・アリーナで行われるマニー・パッキャオ(比)対シェーン・モズリー(米)のWBO世界ウェルター級タイトルマッチ12回戦。この一戦がどんな結果に帰するかは分からないが、ボクシングはときとしてチーム力の差が勝敗を分けることがある。
 よって今年いちばんの大勝負を前に、両陣営の参謀について触れておく必要があるだろう。まずはパッキャオが全幅の信頼を寄せる名匠フレディ・ローチ・トレーナーを紹介しよう。
名匠ローチの半生 PART①

 パッキャオのみならずアミール・カーン(WBA世界スーパーライト級王者)、次期チャンピオン候補のフリオ・セサール・チャベス・ジュニア(メキシコ)、バーネス・マーティロスヤン(アルメニア/米)といった大物を指導するローチは、1960年3月5日、米国マサチューセッツ州デドハム出身の51歳。
 いまはトレーナーとしての存在感が大き過ぎるせいか現役時代の実績が忘れられがちだが、ローチは70年代の終盤から80年代初頭にかけて期待を集めたホープで、その試合は何度もテレビで放送されたほどだった。
 幼少時から2人の兄たち~ペッパー&ジョイ~と一緒に父ポールにボクシングの手ほどきを受けたローチは、アマチュアを経て78年8月に18歳でプロデビュー。キャリア初期は3年半で27戦26勝(9KO)1敗の好戦績を残している。この間、81年1月には米国ニューイングランド州のフェザー級王座も手にしている。WBA世界スーパーバンタム級10位にランクされたのも、このころのことである。
 しかし、82年ごろから勝率が落ち、その後は鳴かず飛ばずのまま現役生活を終えている。キャリア晩年はボビー・チャコン(米)、グレグ・ホーゲン(米)、ヘクター・カマチョ(米)、ダリル・タイソン(米)といった新旧世界王者や世界ランカー相手に黒星が重なった。最終的な戦績は53戦40勝(15KO)13敗というものだった。
 86年10月、26歳の若さで現役を退いたローチは第二の人生を模索した。