[試合後会見]2016.10.17
悲願のタイトルを死守できたのか――
ミッシェルの拳がめりこむ
 3度目のアタックで悲願の東洋太平洋スーパーミドル級王座を獲得した松本晋太郎(31=ヨネクラ)が、17日の後楽園ホールで初防衛戦のリングに立った。対戦相手はこのところ日本選手にとっては分の悪い豪州選手。スロースタートの松本は、戦前の予想通り立ち上がりから同級3位ジェイド・ミッシェル(30)のスピードに翻弄され、リズムが築けずに苦戦した。
挑戦者のスピードについて行けず
 悪い流れのままラウンドは進み、4回と8回の途中採点ともポイントで突き放された松本は、ボディに狙いを絞り反撃に転じようと試みるも、挑戦者の細かい動きの前に距離を潰しきれず。すると焦りが裏目に出てしまい、思い切って距離を詰めたところでミッシェルと頭が当たり、松本は右目上を大きくカットしてしまった。
ミッシェルが東洋太平洋王座を奪取
 一度は再開されたが、出血が激しく2度目のドクターチェック後にレフェリーが試合をストップ。10回負傷判定となり、結果は最大8ポイント差で挑戦者の判定勝ちに終わった。
ショックを隠しきれず
 初防衛に失敗した松本は試合後、医務室で傷を縫合したのち取材に応じた。「スピードは想定内だったが、予想した以上に動かれてしまった。パンチが大振りになり、気持ちが先走ってしまったのだから焦りがなかったと言えば嘘になる。これが自分の実力です」と語り、ガックリと肩を落とした。
試合後は気丈にミッシェルの訪問を受け入れた
 嶋田雄大トレーナーも「動く選手と分かっていたが、想像以上に速かった。決して怖い選手じゃないだけに悔しい」と唇を噛み締めた。
これをステップに世界を目指す
 一方、東洋太平洋タイトル初挑戦でベルトを手にしたミッシェルは「距離を取る作戦だったがその通りに上手くいった。タフな相手だったがチャンピオンになれて嬉しい」と胸を張った。国外での試合は初めてだが、世界4階級制覇王者ミゲール・コット(プエルトリコ)のスパーリングパートナーとしてアメリカで腕を磨いているというミッシェルは、「日本は素晴らしい国なのでまた試合がしたい。これからは世界ランキングに入ってキャリアを積み、世界王者を目指したい」と白い歯を見せた。