[試合後会見]2016.6.4
金子大樹「やりにくかった」
両雄に拍手
 4日、後楽園ホールで開催された「第550回ダイナミックグローブ」のメインイベントでは元日本スーパーフェザー級王者、現日本同級5位・金子大樹(27=横浜光)対同級6位・高畑里望(36=ドリーム)のスーパーフェザー級10回戦が行われた。前日計量で「本当の意味での再起戦」 と語った金子がどのような動きを見せたのか――。
最後まで激しく打ち合った
 初回、長身の高畑がジャブを飛ばし好スタートを切るが、2ラウンドに入ると金子が左ボディで動きを止め、打ち下ろしの右ストレートから連打でロープダウンを奪う。フィニッシュは時間の問題と期待させたが、高畑がここから驚異の粘りを見せて必死の反撃。中盤以降、手数の減った金子だが着実にポイントを重ね、決めに出た最終回には左ボディで切り崩して連打で追い込んだが、高畑が最後まで勝負を諦めずこのまま試合終了。KO勝ちを飾れなかった金子だが、ジャッジ3者とも7ポイント差の支持を得て完勝、再起2連勝となった。
反省の弁が続いた
 控室に戻った金子は「ジャブが思ったより当たらなかった。工夫はしたが途中良くなかったので相手の打ち終わりにパンチを当てていく作戦にした。相手が思うようなボクシングをさせてくれなかった。もっと遠い距離で試合を組み立てたかった」と笑顔なく試合を振り返った。続けて「どんなボクサーにも対応できるようにしていきたい。自分のプレスが足りない。引き出しを増やしていきたい」と課題を挙げた金子は、「勝ったから次に繋がる。もう負けることができないので一戦一戦強くなることしか考えていない」と具体的な目標はあえて挙げず、地力を上げていくと誓った。
下半身トレーニングの成果が出た
 一方、KO負けのピンチから必死の抵抗を見せ、試合後には観客の声援を受けた高畑。「金子選手は体の力がすごかった。こっちのアッパーへの対応が良く当てさせてくれなかった」と素直に金子の強さを認めた。「負けたのは悔しいがイメージより差はないと思った。これも自分が成長したからかな」と手応えも感じていると口にした。
 来月にボクサーの定年37歳の誕生日を迎える高畑だが、今年のルール変更により日本ランキングに残れば現役続行が可能で、「ランキングに残れるならまだ伸びしろはあるので続けたい。金子選手と打ち合うことができてすごく楽しかった」と再起の意向を示した。
尾川堅一
 この試合をリングサイドで観戦していた日本スーパーフェザー級王者の尾川堅一(28=帝拳)は、「(金子選手は)決める時は決めないといけない。今日は仕留めるところを観たかった」と2ラウンドにダウンを奪いながら判定勝ちとなった金子に注文をつけた。