[試合後会見]2015.6.7
五十嵐、世界へ向けて
五十嵐、拳に手応え
 6日、後楽園ホールで開催された「ダイナミックグローブ」のメインでは、世界王座返り咲きを目指す元WBC世界フライ級王者の五十嵐俊幸(31=帝拳)が、フィリピン・ランカーで14戦12勝(5KO)1敗1分の実力者、レネリオ・アリザラ(21)とSフライ級10回戦に臨んだ。
採点表
 思いのほか威力があるパンチで打ち終わりを狙われ、序盤は手こずったサウスポーの五十嵐だったが、4回以降は左ストレート、左ボディ、さらに右フックを好打し、ペースを掴んだ。あとが続かずこう着状態にも陥ったが、その度に左右を連打してはアリザラをコーナーに追い込み、判定ながら最大7ポイント差をつけ完勝。前回、前々回の負傷判定勝ちの鬱憤を晴らし、勝ち名乗りでは久しぶりの笑顔を見せた。
悲しみのアリザラ
 「(五十嵐は)パンチは強くないがベテランらしい戦いぶりだった。敵地なのでKOしないと勝てないと思ったが…。いいファイトがしたかったので最後まで頑張れたが、負けてしまい悲しい」(アリザラ)。
五十嵐俊幸
 控え室に戻った五十嵐は、バッティングで負傷した右目上を気にしながら「単純に強く気を抜ける相手ではなかったが柔軟なボクシングができた。もう一押しが足りなかったが、これまでにない拳の手応えがあった。良い緊張感のなかで試合が出来た」と素直に勝利を喜んだ。
再び世界を
 フライ級から階級を上げた現在、スーパーフライ級でWBA、WBCともに上位ランクにつける。「ランキング的にはいつ話が来ても良い位置にいるが、僕は4年周期でチャンスがくる。来年のオリンピックイヤーがその年なんです。だから来年に向けて頑張ります」と04年のアテネ五輪日本代表は取材陣の笑いを誘った。プロ入り後、08年に日本王座獲得、12年にWBC世界王座奪取とたしかに4年周期でチャンスを掴んだ五十嵐。同門の山中慎介、三浦隆司に肩を並べるのは少し先になりそうだが、その顔に焦りはなかった。