[試合後談話]2015.4.13
衝撃は突然に。
襲い掛かる大森将平
 チャンピオンカーニバル屈指の好カード。日本バンタム級タイトル戦が13日、後楽園ホールで開催された。勝てば25年ぶりに日本王座のベルトを京都に持ち帰ることになる挑戦者、大森将平(Woz)と3度目の防衛戦を迎えたチャンピオン、益田健太郎(新日本木村)の一戦に、聖地は大歓声に包まれた。
クールな視線を送る大森
 関西では早くも世界を期待されているサウスポー大森が、タイトル初挑戦とは思えない落ち着いた戦いを見せた。長いリートからジャブで距離を測り、プレッシャーをかける。益田が懐に入ろうとした瞬間、大森の左ストレートから右アッパーで最初のダウンを奪う。ダメージの残る益田に右フックのカウンターが決まり再びダウン。足にきている益田に連打を浴びせてあわやストップかというタイミングでゴングに救われた。
 試合が決まったのは3R。劣勢な状況を打破したい益田は強引に中に入ろうとするが大森はそれをさせない。聖地の観客を唸らせたのは、大森の左ストレート。カウンターを合わせるとレフェリーは躊躇なく試合を止めた。
益田健太郎
 3度目の防衛に失敗した益田の控室は重苦しい空気に包まれた。 「残念の一言。何もさせてもらえなかった」と苦笑いしながら語った益田。「自分の手数が少なかった。右をもらって足がつってしまった。(パンチ力は感じなかったが)リズム感が良く、まとめてコツコツとコンビネーションをもらってしまった」と試合を振り返った。「センスの差を感じた」と落胆の色を隠せない益田。今後については「会長やお世話になった人の意見を聞いてから。もう少し時間が必要ですね」と明言は避けた。
採点表
 初回に圧巻の右アッパーと右フックでダウンを奪い、勝負あったかにも見えたが、セコンドは冷静さを保っていた。2回には距離感がおかしくなったと話した大森。3ラウンドに送り出したセコンドからは「相手は回復している」とアドバイスが出ていた。「右で起こして最後は左ストレート」と初戴冠が決まったシーンを回想したチャンピオン。センセーショナルな王座奪取に後楽園ホールは歓声で包まれた。
ベルトの重み
 25年ぶりに京都に日本王者のベルトを持ち帰ることとなった大森は「チャンピオンは強かったです。でも、1ラウンドで終わったと思った」と2度ダウンを奪った後の終了間際に連打した初回を振り返った。初のタイトル挑戦にもプレッシャーを感じていないふりをしていたという22歳の新チャンピオンだが、地元京都では有利との声も多かったことも重なり、タイトル戦の重圧は、大きかったという。
 日本チャンピオンのベルトを手渡されたWozジムの大森昌治会長は、不器用そうに逆さまのまま掲げると「ベルトなんか持ったことがないから」と苦笑い。「18年かかった」と喜びを口にした。
大森将平
 今後に関しては、東洋太平洋ランキングが上がることから、4月5日に初戴冠を果たしたばかりのチャンピオン、川口裕(28=グリーンツダ)への挑戦を考えるとした大森会長。バンタム級関西ウォーズが実現する可能性が高まってきた。