SF仕様のデンカオセーン

　26日(水)、後楽園ホールで河野公平(33=ワタナベ)とWBA世界スーパーフライ級王座を争う元WBA世界フライ級王者で同級1位(暫定王者)のデンカオセーン・カオウィチット(37=タイ)が昨日来日し、21日に都内のジムで公開練習を開いた。

　今年でプロ18年目を迎える37歳のタイの英雄は、戦績66戦62勝(26KO)3敗1分。08年12月に坂田健史(協栄)への2度目の挑戦でWBA世界フライ級王座を奪い、09年5月にタイで久高寛之(仲里ATSUMI)、同年10月に亀田大毅(亀田)を退け2度の防衛に成功。翌年10月の大毅との再戦でベルトを奪われた。
　その後、スーパーフライに階級を上げPABA王座を獲得。10度防衛のなかには13年3月の堤英治(三迫)戦も含まれる。昨年9月、地元で元WBA世界スーパーフライ級王者の名城とWBA世界スーパーフライ級暫定王座決定戦に臨み、判定2-1で勝利した。日本選手とはこれまで7度対戦し、5戦(2KO)1敗1分の成績を残している。来日は今回で5度目となる。

　一時の勢いは落ちたと思われていたデンカオセーンだが、スーパーフライ級に上げて減量苦から開放されたのか、シャドーではワンツー、フックをスムーズに出しキレのある動きを披露。特に左ジャブの力強さが目立った。ミット打ちとスパーリングは行わなかったが、好調さをアピールするには十分だった。

　偵察していた河野の専属トレーナー高橋智明氏も「パンチも鋭く調子は良さそうですが、それほどやりにくさは感じませんね。調子が良いもの同士で面白い試合になるでしょう。追わせつつボディを攻めてスタミナを削りたいが、あの左をあまりもらうようでは危険」と話し、自信を深めつつも警戒は怠らなかった。

　旅の疲れもなく、終始リラックスした表情で会見に臨んだデンカオセーンは、河野について「前に出て打ってくる良いファイター。名城や坂田と同じ強さを持つ油断できない相手だと思う」と評価。昔と比べ、スタイルが変ったかの問いには「経験を積んで、色々なことを工夫するようになった」とし、ファイター色の濃かったフライ級時代とは違うと話した。
　ウェイトは今の段階で1.8kgオーバーと問題なし。8ヶ月から18歳まで男女3人ずつ6人の子供がいる(今の奥さんは4人目)タイの英雄は、「子供たち、タイ国民のためにも絶対に勝つ!　自信は100%ある」と言い切った。

　スーパーフライ級仕様で日本に乗り込んできたデンカオセーン。37歳にして、さらなる進化をはたしたのかもしれない。