井上尚弥とアフマダリエフが激突!

　世界主要4団体※スーパーバンタム級統一王者の井上尚弥(32=大橋)とWBA同級暫定王者のムロジョン・アフマダリエフ(30=ウズベキスタン)が14日、名古屋IGアリーナで開催された「Lemino BOXING トリプル世界戦」のメインイベントで激突。

※世界主要4団体

WBA(世界ボクシング協会)

WBC(世界ボクシング評議会)

IBF(国際ボクシング連盟)

WBO(世界ボクシング機構)

　世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥が、過去最強の挑戦者アフマダリエフを迎え撃った。序盤から神経戦が続く中、井上は右ボディやジャブで主導権を握り、被弾を最小限に抑える冷静な試合運び。中盤以降も距離を保ちながらカウンターとボディで削り、終盤まで集中力を切らさなかった。

12回を戦い抜き、大差判定勝ち。井上が統一王座を堂々防衛し、王者の実力を改めて示した。

　統一王座の防衛に成功した井上尚弥は、試合後の会見で穏やかな表情を見せながら「作戦を最後まで実行した。最初にアフマダリエフの戦い方をインプットし、試合を進めていった。アフマダリエフの戦い方は想定のひとつだったが、まともに貰えばインパクトのあるパンチを持っていたので、そこは警戒した。アフマダリエフを相手に、今回の試合運びは100点だと思う」と振り返った。

　続けて「今日は“我慢”をテーマに、父・真吾トレーナーに言われた通りポイントアウトのボクシングに徹した。中盤以降はポイントを取られていない感覚だった。KO勝ちを作ろうと思えばいけたが、アフマダリエフも実力者なので、自分が攻めればまた違う展開になっていたはず。だから今日は判定に徹した」と冷静に分析。「倒しにいかないことが、こんなに難しいとは思わなかった」と“モンスター”らしい本音も覗かせた。

　それでも「KOでも、判定でも良いと想定していた。今日のように試合を運ぶために準備をしてきたものがこの結果になり、満足している」と、珍しく自らの戦いを評価。

　最後には「素晴らしい会場で『尚弥』コールが響き、いま振り返っても嬉しい。判定でも魅せるボクシングはできたが、KOもボクシングの醍醐味。そこを大事にし、これからも魅せていきたい。次戦まで時間がないので、しっかり休んでから準備していく」とファンへの感謝と、今後の抱負を語った。

　同席した大橋秀行会長も「ここ数年で1番良い試合をしていた。KOも大事だが、判定でもここまで魅せられる、良いボクサーになったと思う」と太鼓判を押し、さらなる進化に期待を寄せた。

　一方、判定結果の後に「And still」とジミー・レノンJr.がコールした瞬間に、拍手をしてモンスターを称えたアフマダリエフは、WADAのドーピング検査のため会見を欠席。代わって登壇したスミスプロモーターが陣営の思いを代弁し「日本におけるボクシング文化は素晴らしく、今回の試合も素晴らしかった。思うような結果は出なかったが、MJは必ず戻ってくる。今後も井上をチェックし、MJ本人もやるべきことをやっていく」と力を込めた。

　また、アントニオ・ディアス トレーナーは「もっと競っていると思っていたが、予想より採点が広がっていた印象。MJはコンディションも良く、良いパンチを当てたがダメージには至らず、ただただ井上選手が強かった」と試合を分析。最後に「MJは帰ってくる!」と力強く言葉を残し、再起を誓った。