夢の再会トークショー「リカルド・ロペス×大橋秀行」

　両レジェンドが対戦した1990年10月25日のWBC世界ストロー(ミニマム)級タイトルマッチは、今でもボクシングファンに語り継がれている。が、あの試合は指名試合ではなく、選択防衛戦だった。大橋会長は「とてつもなく強いやつがメキシコにいると聞いて、指名戦を待ってもらって、試合をした」と、伝説のタイトルマッチが実現した裏舞台を明かした。

　ロペスの練習を見たヨネクラジムの米倉健司会長やトレーナー陣の顔が真っ青になったのを見て、「相当強いやつなんだなと思った」と、大橋会長が当時の様子を回想した。

　大橋会長と対戦した印象をロペス氏は、「とても勇敢で、とにかくパンチが強かったので、ガードを上げて動きを止めない作戦に切り替えた」と試合を振り返った。

　試合前、「松本清司トレーナーから、右のパーリングをするときに、右のガードが空く癖があることを言われていたが、かわせばいいと思ってたが、そこを狙われて(パンチを)もらって、(目の前が)砂嵐のようになった」と大橋会長が振り返ると、そのことに関して、ロペス氏は、「映像を見て知っていたので、狙っていた」と明かした。

　改めて、ロペス氏は「あの試合で人生が変わった。チャンピオンになったので、その後は、もっと練習をした」と、伝説のマッチが人生のターニングポイントになったとした。

　アマチュア経験も豊富なロペス氏だが、プロ、アマ通じて一度も負けたことのない、ボクシング史上唯一無二のボクサーだったことを特記しておきたい。

　誰と戦うかー、誰に挑むかー、がボクサーにとってどれだけ大切なことかを解いた大橋会長は、「ロペスに負けた大橋といえば、WBC総会でも、『おー、ロペスと戦ったのか』とリスペクトされる。だから、自分の階級に伝説と言われる選手がいたら、必ずやるべきだ」と述べ、現役時代の八重樫東トレーナーにもこのことを伝えたことで、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)との対戦が実現したことを明かした。

　大橋会長といえば、モンスター井上尚弥(31=大橋)を育てたことでも知られているが、会場のファンからの「もし、井上尚弥と対戦するならばー」という質問にロペス氏は「井上は、偉大なチャンピオンなので、勝つのは難しい。パワーもスピードもあって、技術的にも素晴らしい。これからも過信しないで頑張ってほしい」とエールを送った。