矢吹正道が姫路の刺客とV1戦

　日本ライトフライ級王者の矢吹正道(28=緑)が26日、愛知県刈谷市あいおいホールで開催された「GREEN Dream.13」のメインイベントで同級1位の大内淳雅(35=姫路木下)を迎えて初防衛戦に臨んだ。
　矢吹がチャンピオンの強さを見せて世界をアピールしたのか、それとも約4年5ヶ月ぶり、3度目の日本王座挑戦の大内がベルトを奪ったのか――。

　矢吹が左でコントロールして指名挑戦者に付け入る隙を与えなかった。序盤から矢吹がキレのあるジャブを飛ばして試合の流れを作った。大内はガッチリとガードして決定打を避けたが、距離が遠く打ち返せず。前半終了時の公開採点をフルマークで折り返した矢吹は、ジャブを軸にヒットを重ねるとカウンターの右アッパーを決めた。逆転を狙う大内は10回に右クロスを決めるが、矢吹も右ストレートをねじ込み譲らなかった。矢吹が大差判定勝ちで初防衛に成功した。

　初めてKO勝ちは逃したものの、完勝で王者の力を示した矢吹は「(お客さんは)KOを期待したと思うが、ピンポイントで打たせてもらえなかった。KOにはこだわっていなく、10ラウンド戦えたことが収穫だった」と試合を振り返ると、「国内に敵はいない。来年は世界を目指す」と高らかに宣言した。

　試合後に囲み取材に応じた矢吹は「相手は強いパンチを警戒して、倒されないボクシングをしてきた。右は見切っていたが、無理をして攻めていかなかった」とコメント。
　現在3団体で世界ランク入りしている矢吹だが、この日はトランクスにWBCのワッペンをつけてリングに上がった。矢吹は「一番強い拳四朗選手(寺地拳四朗=BMB/WBC王者)と戦いたい」とターゲットに7度防衛している絶対王者の名前を挙げた。

　会見に同席した松尾敏郎会長は「安心してみていた。100点に近い出来だった。早いうちにチャンスを作ってあげたい」と2021年は世界獲りに全力を注ぐ。

　一方、3度目の挑戦も実らなかった大内は「想像以上に距離が遠かった。序盤からもっと体力を削っていきたかったが、入るきっかけを掴ませてくれなかった。ここまでジャブが当たらなかったのは初めて」とチャンピオンの強さを認めると、「後半、手応えのあるパンチが当たったが、倍以上にもらってしまった。(矢吹選手は)ジャブが速くてパンチが強い。戦いながらすごいレベルの高いボクシングをしてくるなと。拳四朗選手より強いなと思った」と唇を噛んだ。