少数民族カザフ族の星、ウラン・トロハツ

　大晦日の大田区総合体育館でWBO世界フライ級王者の田中恒成(24=畑中)に挑戦する同級10位のウラン・トロハツ(26=中国)が28日、都内のジムで練習を公開し「とてもワクワクしている。早く試合がしたい。人生を懸けて戦う!」と王座奪取に意欲を示した。
　試合は当日TBS系列で午後5時から中継される。

　トロハツは今年3月に中国・上海で山内涼太(角海老宝石)と空位のWBAインターナショナル・フライ級王座を争い戴冠。日本での試合は、17年10月に後楽園ホールでかねこたけし(REBOOT.IBA)と6回戦で対戦して以来2度目となる。戦績は17戦13勝(6KO)3敗1分で、かねこ戦で引き分けたのを挟んで現在11連勝中と勢いがある。

　田中の印象を問われると、同席したプロモーターのリウ・ガン氏が代わって答え、「田中はアマチュアキャリアのある優れた選手だが、我々も良いトレーニングを積んできたのでウランが勝ちます」と自信たっぷりに必勝を宣言した。

　また、92年のバルセロナ五輪中国代表だったリウ・ガン氏をコーチした縁で、現在はリウ・ガン氏と契約を結ぶWBA世界フェザー級王者シュー・ツァン(中国)を指導するペドロ・ディアストレーナーは、「今回初めてウランとタッグを組んだが、彼は非常にクレバーで、今回は特に調子が良い。田中も素晴らしい選手だが穴はある」と番狂わせを狙った。

　会見後、練習に移ったトロハツはバンテージを巻くことなく、ディアス氏の細かい指示のもとシャドー、ゴルフボール大の球をキャッチする独特の練習法を披露し、軽く汗を流した。

　新疆ウイグル自治区出身でカザフ族のトロハツ。リウ・ガン氏は、「トロハツはボクシングが好きで13、4歳から始めた。アマでは27勝3敗。子供の頃は貧しかったが、今はボクシングで家族に家を建てるまで活躍できるようになった」と経歴を紹介し、「今やウイグルの星と言われているよ。必ず世界チャンピオンになる」と期待した。