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前王者・村中優(フラッシュ赤羽)の計量失格により王座剥奪となった空位の日本フライ級タイトルを巡り、17日の後楽園ホールで同級1位・粉川拓也(30=宮田)と同級2位・斎藤洋輝(28=ワタナベ)が争った。かつて3度防衛したこの王座への返り咲きを目指す粉川、初の挑戦でタイトル一発獲りを狙う斎藤。はたしてどちらの思いがリングで上回ったのか――。
粉川、キャリアは伊達じゃない
粉川がスピードを生かし的確なジャブ、右ストレートで先制すれば、斎藤も怯まずに前進。粉川の打ち終わりを狙い、左フック、右クロスと畳み掛けた。2回には手数で上回る斎藤が右クロスを決め、元王者の腰を落としたが、ここは粉川が踏ん張り、終了間際には左右フックを斎藤の顔面にまとめた。序盤から白熱した好ファイトに両者の応援もヒートアップ。ヒットを奪うたびに「タクヤ!」、「ヒロキ!」と声を上げ、拍手と歓声が飛び交った。
採点表
5回の途中採点は48-47,49-46,49-46とジャッジ3者とも粉川を支持。斎藤は4回に粉川の右ストレートで左目上を大きくカットするなど致命打を受け続けたが、ベルトへの執念から圧力と手数を止めず。逆に粉川が打ち疲れるほどだった。最終10回には再び右を効かせ粉川を苦しめたが、粉川も反撃に転じ打ち合いのなか終了のゴング。斎藤の圧力にスピードと距離で対応し、時には真っ向から打ち合った粉川が最大6ポイント差の判定3-0で勝利し、1年半ぶりとなる王座へと復帰した。全力を出し切った二人は互いの健闘を称え、会場からも惜しみない拍手が送られた。
奮闘したが
控え室に戻った斎藤には、渡辺均会長が付き添い「よくやった」と声をかけながら氷嚢で頭を冷やしていた。斎藤は、途切れ途切れの記憶を紡ぐように試合を振り返り、「打たれても相打ちで行くつもりだったが、途中から力んでしまった。攻め方も単調になりパンチをもらいすぎた。粉川さんの経験と上手さにやられた」と反省するのがやっとだった。
最後には笑顔もみせた
一方、王座返り咲きをはたした粉川は、「手応えのあるパンチはあったが、斎藤選手が予想以上にタフで倒せなかった」と不満を口にし、世界再挑戦についても「今日の内容じゃまだまだ」と否定した。それでも「最後まで諦めずに頑張る姿を見せることができた」と自身に及第点は与えたようで、「これでようやく再スタートを切ることができる。すぐに練習を再開し課題に取り組みたい」と真っ直ぐに世界を見据えた。
頑張れ粉川