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世界のリングで経験を積んだ元日本・東洋太平洋ライト級王者・荒川仁人(33=ワタナベ)と、世界への飛躍を目指す日本Sフェザー級王者・内藤律樹(23=E&Jカシアス)の注目の新旧サウスポー対決が8日、超満員に膨れ上がった後楽園ホールで行われた。
採点表
駆け引きに長けた両者の一戦は、ジャブで互いの出方を探る緊張感のある立ち合いでスタート。ここから反応速度で上回る内藤が、荒川をジャブで誘いワンツー、フック、さらに左右のショートアッパーをねじ込み一歩リードした。荒川も間合いを外してのジャブから左ストレートを好打させチャンスをうかがうと、後半には内藤をぐいぐいと押し込み、連打から間髪入れずにワンツーをヒット。強引に流れを引き寄せた。それでも何度かの危ない場面を耐えた内藤は終盤、再びアッパーからのチャンスを作り、荒川の追い上げを絶ちきった。最後は真っ向勝負の打ち合いに、観客のボルテージが最高潮に達したところで終了のゴング。内藤が97-94,97-93,98-92の判定3-0で荒川を下し、新旧対決を制した。
敗戦にも収穫あり
試合後、控え室に戻った荒川は、「見たままです。移籍してビックチャンスをもらって勝たないといけない試合だったのに、結果が出せなくてジムに申し訳が立たない」とうなだれた。内藤については「スピードもテクニックもある選手だった。パンチは世界の強豪と比べると物足りないが、ないわけではない」と評し、「前半、見栄えが悪く(ポイントを)取られてしまったが、最後まで体力をセーブせずに戦え、後半は自分の良さを出せたのが最低限の収穫」と振り返った。
今後も頑張る
今後については「こんなので結論を出したら、移籍を快く受け入れてくれた渡辺会長に失礼なので、良い方向に切り替えて結果で応えたい」と再起する意向を示した。その渡辺均会長は「(内藤からオファー来た時は)本当に悩んだ。本当はSライト級の方がいいと思うが、本人の意向を尊重した。またチャンスを作ってあげたい」と労をねぎらった。
荒川はプレスが強かった
一方、バッティングでの右前頭部カットの治療を終え、取材に応じた内藤は「キツかった」と第一声。プランとしては内藤から圧力を掛け、相手の上体を起こすつもりだったが、「荒川さんの頭から来るプレッシャーに思わず下がってしまった。その後も相手の土俵で戦ってしまい自分のボクシングが出来なかった」と悔やんだ。
チーム内藤
それでもプロ初のサウスポー戦でキャリアのある荒川に勝てたことを素直に喜び、世界に行くためにも更なる精進を誓い、次戦も世界クラスとの対戦を希望した。また、今回はライト級に上げての試合だったが、この階級でも一定の手応えは掴んだ様子で、今後もSフェザー、ライト級と世界への選択肢は増やすつもりだ。内藤の次なるチャレンジに注目したい!