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27日の後楽園ホールでは東洋太平洋スーパーバンタム級王者、和氣慎吾(27=古口)の5度目の防衛戦が行われた。世界を公言する和氣は、小柄ながら強打を誇るフィリピンからの刺客、同級10位のジミー"ポパイ"パイパ(21)を相手に、誰もが認める挑戦権を得ることが出来たのか――。
驚きの結末
試合は、和氣と同じ左構えのパイパが右、左にスイッチしながらフックを強振しスタート。和氣も冷静にリードから左を突き刺すが、初回序盤に左が伸びたところに右フックを合わされヒヤッとさせた。しかし、すぐに立て直すと今度は和氣がパイパの入り際に左アッパーを一閃。顎にドンぴしゃで合わせ、この一発でパイパは足から力なく崩れた。カウント5でなんとか立ち上がったが、足の震えは止まらず10カウントが数えられた。
記念撮影
圧巻の一発KO劇を披露した和氣は、リング上のインタビューでマイクを握ると、「次は世界だと思っています。どの団体でも構わない。絶対に世界チャンピオンになります」と力強くファンに宣言した。
強さに驚いたとパイパ
昨年5月の来日ではフェザー級で戦い、抜群のスピードと回転で溜田剛士(ヨネクラ)を苦しめたパイパだが、まさかの初回KOに「ビックリした。見えなかった。何も言いたくない」と呆然。調子も良かっただけに、和氣の強さにただ脱帽した。
清々しいふたり
一方、圧巻の勝利にも「これが俺の実力」と言わんばかりに冷静な和氣。「序盤からスイッチを繰り返していたので、右に変えた時がチャンスだと思っていた。右フック?当たっていました?まったく覚えていません。これからどう組み立てようかと考えていた矢先で倒れた。無意識の反応で、力を入れて打ったわけではないので手応えはなかったが、会長との練習どおりに打てました」と僅か179秒の試合を振り返った。
古口会長、満面の笑み
昨年は自らの判断で世界戦を逃し、古口哲会長との確執を生んでしまった。その上での防衛戦に「負ければもう後がない」と自分へのプレッシャーも感じていた。古口会長も詫びを入れる和氣をどうしても許すことが出来ず、先月まではミットを持つことはなかった。それでもただ黙々と練習に打ち込む和氣にほだされ、初めてミットを持ったのが今月2日の公開練習の時だった。和氣は「ようやく会長を(自分に)振り向かせることができた」、古口会長は「こいつはやっぱり俺が見ていないとダメ」と二人三脚が復活。左を磨き上げ、今回の勝利に繋がった。「自分でよくあそこまで仕上げたよ。今日は恐れ入りました」と会長。雪解けの満面の笑顔を和氣に向けた。
機は熟し、師弟の「東洋卒業」は一致。会長はまだ未定としながらも時期を見てベルトを返上し、世界のチャンスを待ちたいと語った。
機は熟し、師弟の「東洋卒業」は一致。会長はまだ未定としながらも時期を見てベルトを返上し、世界のチャンスを待ちたいと語った。