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前日本スーパーフェザー級王者の金子大樹(26=横浜光)が17日の後楽園ホールで、今後の分岐点ともなる一戦、無敗のサウスポー王者ジョムトーン・チューワッタナ(25=タイ)の持つOPBF東洋太平洋同級王座に挑んだ。
前日とは別人のよう
前日計量で減量苦、また高熱による体調不良に見えたジョムトーンだったが、蓋を開けてみればムエタイで鍛えられたフィジカルの強さと柔らかさ、そしてパンチへの反応の良さで終始ペースを握り続けた。「パンチは重いというより硬かった」と試合後に振り返った金子は、リズムが取れないまま試合を進めてしまい、王者の右ジャブで左目付近を大きく腫らした。4回、8回の途中採点ごとにリードを広げられた金子も、接近戦ではボディを叩き、終盤には単発ながら右を入れ大歓声を呼んだがドラマは生まれず。未だ底知れぬ実力を秘めた王者ジョムトーンに最大4ポイント差を付けられ敗退した。
金子を称えるジョムトーン
試合後、鼻頭にアザをつけた程度とキレイな顔で控え室に戻ったジョムトーン。「金子の右が強く、倒される危険はあった」と挑戦者を称えたが、疲れたのは最終12回だけと笑顔で言い放った。計量時の体調不良については言葉を発さず。それでもムエタイではウェルター級で戦っているらしく、今回は「12kgの減量に悩まされた」とだけ答えた。
世界戦を熱望
これでボクシング戦績を9戦全勝(4KO)とした王者は、ムエタイとの両立に「今後はマネージャーと相談したい」としたが、二人の日本人スーパーフェザー級世界王者に対しては「どちらのタカシ(WBA=内山高志/ワタナベ、WBC=三浦隆司/帝拳)でも構わない」と挑戦を希望した。
距離が難しかった
一方、敗れた金子は、報道陣ともにショックは隠しきれず。静まりかえった中での会見となった。腫れた左目を氷で冷やしながら「リズムが取れないまま、相手に合わせ過ぎてしまった。プレッシャーもあったし、接近戦も上手く懐が深かった」と気丈に答えた金子を見て、昨年に新しくタッグを組んだ北原将夫トレーナーが後を続けた。「計量の時と雰囲気がまるで違った。あれはワザとやったんでしょう」と悔しさを滲ませたつつも、金子にリズムを取らせなかった点を上げ、「素晴らしかった」と王者を称えた。「金子もスタイルチェンジの最中で、本来ならもう一戦挟んでやりたかったが、こうなってしまったのは自分たちの責任。新しい金子を見せられなかったのが残念」と金子を労った。最後に金子は、今後について「とりあえずは休み、それから会長と相談したい」と話し会見を終えた。
この敗戦を糧に頑張れ!
一昨年大晦日の内山への挑戦失敗。それでも駆け足で世界再挑戦を目指した金子の前に大きな壁が立ちはだかった。自ら「分岐点」と位置づけていただけに、今は現実を受け止めるだけで精一杯なはず。だが復活を信じ、輝きを取り戻す日を待ちたい。