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井上尚弥(20=大橋)を相手にしての5度目の防衛戦(4月6日@大田区総合体育館)を6日後に控えた3月31日、WBC世界ライトフライ級王者アドリアン・エルナンデス(29=メキシコ)が都内のジムで報道陣に練習を公開した。プロ6戦目で戴冠を狙う挑戦者に対しては「彼はアマチュア経験が豊富な優れた選手。厳しい戦いになることを覚悟している」と警戒心をのぞかせた。
会見模様
ルーキー時代の07年5月、6月に来日しているエルナンデスは、さらに昨年8月にはメキシコで角谷淳志(金沢)の挑戦を4回TKOで退けている。日本には親しみとともに絶対的な自信も持っているはずだが、「日本は大好きだが、リングの上では何が起こるか分からないから」と、言葉を慎重に選びながらコメントした。2月8日に3回TKOで4度目の防衛を果たしたばかりだが、その試合に備えて165ラウンド、今回の井上戦に向けて96ラウンドのスパーリングをこなしてきたという。それだけにコンディションはベストに仕上がっているという。計量まで5日を残して体重も1キロ超過しているだけで、食事を摂りながら体重調整ができているのだという。
時折見せる鋭い視線
国内最短となる6戦目の戴冠を狙う井上については映像で十分なチェックをしてきたとみえ、「彼は動きがよく、俊敏で前に出て来る選手。6戦目の挑戦だが、リングの上では誰でもが危険な相手。特に井上はアマチュアのキャリアが豊富なので油断せずに戦う」と話した。試合展開に話が及んでもコメントは慎重で「いい試合になると思う。KOは自然に発生するものなので、自分の口からKOという言葉を発することは憚られる」と、最後まで抑え気味だった。
ジェフ・フェネックとのミット
練習では、この試合からトレーナーとしてチームに加わった元3階級制覇王者のジェフ・フェネック氏(豪)を相手に5ラウンド、軽めのミット打ちを披露。ワンツーから左アッパー、左フックという連携や、小さくスウェーしてからワンツーを繰り出すなど工夫をこらしていた。フェネック氏は「井上はスピードがあって優れた選手だが、エルナンデスのようなレベルの選手とは戦っていない。エルナンデスはフィジカルも強く、よりハングリーだよ」と、当然のことながら愛弟子の勝利を推していた。
取材を受ける真吾トレーナー
正味1時間のトレーニングを偵察した井上陣営の大橋秀行会長は「互いにやり易いタイプだと思うので、噛み合いそう」と、激しい打撃戦をイメージしている様子だった。井上の父でトレーナーも務める真吾氏は「もちろん全部を見せてはいないので、参考にはならないと思う。スピードは感じなかったが、油断はできない」と気を引き締めていた。
6日、何が起こるのか
8度の世界戦を経験している歴戦の雄エルナンデスが王座を守るのか、それとも「怪物」井上がプロ6戦目で戴冠を果たすのか。決戦まで6日に迫ってきた。