海外情報 | 海外注目戦 | ランキング | TV・ネット欄 | 階級別特集 |
IBF世界フライ級王者モルティ・ムサレーン(31=南ア)は、アムナット・ルエンローエン(33=タイ)を相手に防衛戦を行うことになったが、既報のとおり試合の興行権は挑戦者サイドが1万5000ドル(約150万円)で落札。ムサレーンは90日以内にタイのリングに上がることになりそうだが、あまりの低報酬には同情したくなる。
フロイド・メイウェザー(米)やマニー・パッキャオ(比)のように試合ごとに数十億円の報酬が約束されるボクサーがいる一方、今回のムサレーンのように極めて少額の報酬の世界王者もいる。それが現実の世界だ。それにしてもムサレーンには気の毒な面が多々ある。もともとムサレーンは5万ドル(約500万円)の報酬で指名挑戦者シルビオ・オルティアーヌ(ルーマニア/スペイン)と南アで対戦しないかというオファーを受けていた。ところがムサレーンはこれを蹴り、報酬の上乗せを見込んで興行権を入札に持ち込むことにした。思惑どおり入札になったが、参加したのは一社だけ。入札額は1万2500ドル(約125万円)だった。規定により王者が85パーセントを受け取れるが、それでも税込で106万円程度である。試合は9月に計画されたが、10月に延期されたすえオルティアーヌが負傷を理由に挑戦を辞退する事態に。20万円足らずの報酬に挑戦者のオルティアーヌが納得しなかったとも伝えられる。こうした経緯があってルエンローエンが新たな指名挑戦者となったわけだが、今回の入札でも1万5000ドルの金額しか提示されなかった。ムサレーンの取り分は1万2750ドル(約127万5000円)。このなかから税金やマネージメント料、トレーナー料などを引かれることになる。しかも試合はタイ開催が決定的だ。5万ドルで手を打っておけばよかったのに――という声が聞こえてきそうだ。ESPN.comのダン・ラファエル記者は「ムサレーンは2度の賭けに負けた」と記している。