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WBC(世界ボクシング評議会)が200lbを上限とするクルーザー級と200lb以上で上限なしのヘビー級の間に「Bridgerweight」ブリッジャー級を新設することを発表した。ヘビー級の試合で選手の体重差が大きくなってきたことなどから、選手の安全性と競技レベルの向上のために200lb(90.72kg)から224lb(101.60kg)を契約体重の枠とする階級が設けられる。11月のランキングから開始するもので、6ヶ月の猶予期間を設けて、現在クルーザー級とヘビー級に登録している選手たちを中心に周知していく。ただし、ブリッジャー級の選手はこれまで通り、ヘビー級の試合にも出場することができる。
※lbはポンドの意味
1lbポンド=0.45kg
※ボクシングの公式計量はポンドを採用している。
ブリッジャー級の名前の由来は、コロナ禍で世界中の人々が落ち込む中、野良犬に襲われそうになっていた4歳の妹を助けるために戦った6歳の少年ブリッジャー・ウォーカー(Bridger Walker)君だ。WBCは今年7月、ブリッジャー君の勇気を称えて、名誉チャンピオンのベルトを贈っている。
タイソン・フューリー(英国)
英国発祥の近代ボクシングは100年以上もの間、階級制ではなかった。その後、1891年3月5日に英国ロンドンに設立された旧ナショナルスポーティングクラブがヘビー級は176lb以上として、全8階級制度を導入した。その後、米国ニューヨークボクシングコミッションが1909年に3階級追加した。
※最初の8階級は以下の通り
■フライ級(112lb)50.8kg
■バンタム級(118lb)53.52kg
■フェザー級(126lb)57.15kg
■ライト級(135lb)61.23kg
■ウェルター級(147lb)66.68kg
■ミドル級(160lb)72.57kg
■ライトヘビー級(175lb)79.38kg
■ヘビー級(176lb以上)79.83kg以上
※米国ニューヨークボクシングコミッションが1909年に追加した3階級は以下の通り
■スーパーバンタム級(122lb)55.34kg
■スーパーフェザー級(130lb)58.97kg
■スーパーライト級(140lb)63.50kg
現在の17階級制になったのは、WBC(世界ボクシング評議会)が、ストロー級(ミニマム級)、ライトフライ級、スーパーフライ級、スーパーウェルター級、スーパーミドル級、クルーザー級の6階級を加えてから。これに伴い、階級ごとの上限体重も変更されている。クルーザー級のリミットはWBCによって10年前に190lbから200lbに引き上げられた。
階級の増設に伴って、世界チャンピオンが増えることで、「チャンピオンの地位が下がるのではないか」という懸念や「制度の複雑化が一般層には受け入れられにくいのでは」という意見も聞こえてきそうだが、選手の安全面の強化とボクシングの競技レベルの向上を目指すWBCの今回の判断は、ヘビー級の歴代チャンピオン達の体重を見ると納得できるかもしれない。重量級の活性化に期待したい。
■ジャック・デンプシー187lb(84.82kg)
■モハメド・アリ210lb(95.25kg)
■マイク・タイソン221lb(100.24kg)
■イベンダー・ホリフィールド208lb(94.35kg)
■レノックス・ルイス235lb(106.59kg)
■ビタリ・クリチコ247lb(112.04kg)
■デオンタイ・ワイルダー219lb(99.34kg)
■タイソン・フューリー273lb(123.83kg)
ちなみに、今年の2月22日に開催されたWBC世界ヘビー級タイトル戦の前日計量の結果は、タイソン・フューリー(英国)の123.8kgに対して、デオンタイ・ワイルダー(米国)は104.7kgだった。