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[海外ニュース]2015.12.30

’15 世界のBoxing回顧2

 2015年の世界のボクシング界で最大の番狂わせは、ヘビー級のウラジミール・クリチコ(39=ウクライナ)がタイソン・フューリー(27=英)に判定で敗れたことであろう。これを機にヘビー級トップ戦線は一転して混戦状態に陥った。
クリチコ王朝、ついに陥落
 クリチコは06年4月にIBF王座を獲得。WBO王座を5連続KO防衛したのに続く2度目の戴冠だった。以後、9年7ヵ月の長期にわたり18度の防衛を重ねていた。この間、WBO王者とWBA王者にも圧勝して3団体の統一王者になっていた。対するフューリーは24戦全勝(18KO)の戦績を残してはいたが、経験値やパワーなどで物足りなさが残り、クリチコを攻略するのは難しいとみられていた。オッズは最近のクリチコの試合のなかでは最も接近したものだったが、それでも4対1という大差がついていた。ところが、身長206センチ、リーチ216センチの巨漢フューリーは通常よりも体重を絞ってリング上がり、スピードと変則スタイルでクリチコを翻弄。終盤に減点されはしたものの明確な差をつけて判定をものにした。 10年近い在位を誇った絶対王者が敗れたことで、ヘビー級トップ戦線は混乱状態に陥った。フューリーはIBFから指示された指名試合を拒否し、来年初夏にクリチコとの再戦を行う予定だ。そのため戴冠から10日ほどでIBF王座を剥奪された。空位の王座は1位のビャチェスラフ・グラツコフ(ウクライナ)と4位のチャールズ・マーティン(米)で決定戦が行われる。
デオンタイ•ワイルダー
 ヘビー級では1月にデオンタイ・ワイルダー(米)がWBC王座を獲得し、米国に約8年ぶりに世界ヘビー級王座をもたらした。戴冠試合が判定までいったことでワイルダーの連続KOは32で止まったが、その後2度の防衛をKOで飾り、戦績を35戦全勝(34KO)に伸ばしている。来年1月16日に3度目の防衛を控えており、さらにそこを突破すると4月か5月には元WBA王者のアレクサンデル・ポベトキン(露)との指名試合が待っている。ここを乗り切れば本当のトップ・スターの地位に辿り着くはずだ。他団体王者たちとの統一戦も期待したい。
ルイス・オルティス
 その他団体王者だが、WBAのレギュラー王者ルスラン・チャガエフ(ウズベキスタン/独)はマリウシュ・マフ(ポーランド)を初回KOで斬って落として戴冠から1年ぶりの初防衛戦を果たした。それ以上に面白い存在になってきたのがWBAの暫定王者ルイス・オルティス(キューバ/米)だ。10月に決定戦を制してベルトを腰に巻いたかと思うと12月にはブライアント・ジェニングス(米)を豪快な7回TKOで一蹴した。サウスポーからスピードに乗った多彩で破壊力のあるパンチを放つパンチャー型で、36歳という年齢は気になるものの要注目選手といえる。
ティモシー•ブラッドリー
 メイウェザーが引退、パッキャオも次戦を最後にリングを去るため、ウェルター級のトップ戦線も混沌としてきそうだ。現時点ではWBA王者キース・サーマン(米)、IBF王者ケル・ブルック(英)、WBO王者ティモシー・ブラッドリー(米)と実力者が王座に君臨しており、全体的なクォリティの低下は避けられそうだが、核となるスター選手がほしいところだ。メイウェザーの引退で空いたWBC王座はランカーたちがトーナメント形式で争うプランが出ており、まずはダニー・ガルシア(米)対ロバート・ゲレロ(米)が拳を交えることになっている。
セルゲイ・コバレフ
 頂上対決が期待されたライトヘビー級のセルゲイ・コバレフ(露/米)とアドニス・スティーブンソン(ハイチ/カナダ)は、今年は別々の防衛戦を消化するにとどまった。コバレフにはアンドレ・ウォード(米)との対戦プランが浮上しており、コバレフ対スティーブンソンというカードは影が薄くなりつつある。(31日に続く)

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