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[海外ニュース]2015.12.29

‘15 世界のBoxing回顧1

 史上空前のドリームマッチが実現し、歴史に残る番狂わせも起こった2015年のボクシング界は、話題の多い年だったと位置づけることができる。その1年を振り返ってみよう。
メイウェザー vs パッキャオ
 今年最大の話題は、5月2日に米国ネバダ州ラスベガスのMGMグランドガーデン・アリーナで行われたフロイド・メイウェザー(米)対マニー・パッキャオ(比)のメガファイトだった。多くのファンや関係者が「もう実現は無理だろう」と半ば諦めているなか、2月下旬になってメイウェザーが試合決定のニュースを自ら発信。両者揃っての会見は3月に行われたが、これほどの注目イベントが試合2ヵ月半前に正式決定ということは極めて珍しい。それにもかかわらず目の玉が飛び出すほどの高額チケットは即完売状態に。入場料の売り上げだけで7000万ドル(約84億円)を超えた。PPVの契約件数はHBOとショータイム両社の合計で440万件を超え、売り上げは4億ドル(約480億円)を上回った。メイウェザーが得た報酬は2億5000万ドル(約300億円)、パッキャオも1億2000万ドル(約144億円)を手にしたと伝えられる。もちろんすべての数字がぶっちぎりの史上レコードである。
メイウェザーが完封
 試合では予想どおりメイウェザーがパッキャオの強打を空転させ続け、明確な差をつけて12回判定勝ちを収めた。パッキャオは「私が2ポイントは勝っていた」と主張したが、同調する者はフィリピンの熱狂的なファンぐらいしかいなかった。試合前に右肩を痛めていたことを明かし、そちらの方が問題になったほどだった。ボクシングファンやマニアは両雄が同じリングに上がって時点である程度の満足を得られたが、社会的な関心ごととして試合を見た人までも満足させたかというと、残念ながら否定的な答えの方が多い試合だった。
引退試合のベルト戦
 惜しまれるのは、このパッキャオ戦後、メイウェザーが9月にアンドレ・ベルト(米)を下して引退してしまったことである。「いずれカムバックするだろう」という見方がある一方、メイウェザー自身は「もう証明することは何もない。復帰はしない」と言い続けている。肩の手術を受けたパッキャオも秋になって「来年4月の試合をラストファイトにする」と発言。次戦で引退することになった。メイウェザーは来年2月で39歳、パッキャオは12月で37歳になった。ともに90年代から世界王者としてリードしてきたスター選手だけに、やはり引退は残念だ。
ギール戦のコット
 メイウェザー対パッキャオほどではないが、11月のミゲール・コット(プエルトリコ)対サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)のWBC世界ミドル級タイトルマッチも大きな注目を集めた。両者ともスーパーウェルター級がベスト体重ということもあり、両陣営の合意で試合はミドル級リミットよりも7ポンド(約3.2キロ)も軽い155ポンド(約70.3キロ)に設定された。試合はアウトボクシングをベースにして出入りしようとするコットをアルバレスが追い詰めるパターンとなり、盛り上がりを欠く展開になった。大差の判定でアルバレスが支持されたが、コット陣営は「私が勝っていた」と主張。試合内容とともに若干の後味の悪さが残りもした。
ゲンナディ・ゴロフキン
 同じミドル級ではWBAスーパー王座とWBC暫定王座を持つゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン/米)と、IBF王者デビッド・レミュー(カナダ)の統一戦も行われた。レミューは試合の4ヵ月前に戴冠を果たしたばかりだったが、ことパンチ力という点に関してはゴロフキンと伍するものを持っており、大番狂わせも期待されたカードだった。しかし、蓋を開けてみれば実力差は歴然だった。04年アテネ五輪銀メダリストでもあるゴロフキンが正確な左ジャブで試合をリードし、5回にはボディブローでダウンを奪うなど試合は一方的に。ダメージを与え続けたすえ8回でレフェリー・ストップに持ち込んだ。
 この2試合の勝者同士――ゴロフキン対アルバレスの直接対決が期待されているが、現時点ではそれぞれが1試合を挟んだあと9月に対戦という方向で調整が進められている。(30日に続く)

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