野獣退治の行方は!!

　11日、超満員に膨れ上がった後楽園ホールで開催された「ダイヤモンドグローブ」は、日本スーパーライト級タイトルマッチがメインイベントを締め括った。
　王者"倒し屋"岩渕真也(草加有沢)の豪腕が唸りを上げ、V3防衛に成功したのか、それとも指名挑戦者"野獣"細川バレンタイン(宮田)が喉笛を喰いちぎったのか…。

　序盤から挑戦者・細川がスピードを活かし、コンパクトな右ストレートを王者・岩渕に浴びせペースを引き寄せる。しかし王者は冷静に挑戦者の動きを見極め、ジワジワと圧力を掛けていく。すると5回、岩渕は圧力を強め右フックで細川にコーナーを背負わせ、ワンツー連打・左右ボディを打ち込み反撃スタート。そして8回、王者渾身の左ストレートがカウンターでクリーンヒット、挑戦者はダウンを喫する。立ち上がる細川だが足元は定まらず、岩渕は怒涛のワンツー連打・右フック・左ストレートで顔面を貫くと8回2分0秒、遂にレフリーが割って入った。

　王者の強打を警戒しつつも、強烈な圧力に距離を詰められ剛腕の連打に涙を呑んだ細川は「試合のプレッシャーは感じなかったし、いつもより気持ちは楽だった。意外に足も使えたが、そこが岩渕選手の罠だったのかも…。ストップは"屈辱"だが、チャンピオンは強かった」と試合を振り返り、ダウンを奪われたことを尋ねられると「8回のダウンは全く覚えてない…。今後のついては、またイチからやり直すだげです!!」と早くも再起を宣言した。

　豪快な連打で挑戦者を打ち砕き、3度目のタイトル防衛に成功した王者・岩渕が控え室で会見を開いた。「細川選手はスピードがあるので、前半は当て難いのは想定内だった。後半のKOか判定になると思っていたので、予定通りと言えば予定通りの展開でした」と試合を振り返り、試合を決めた8回については「中盤から左ストレートが入っていた。ダウンを奪ってからのラッシュは"本能"に任せて(笑)。相手が効いていたら思いっきりいくだけです」と頭で考えるよりも、身体が先に動いたと語り笑顔を見せた。

　リング上で話した東洋太平洋挑戦について岩渕は「東洋王者の金民旭は世界ランクに入っているし、自分のポジションを上げたいから。今回の防衛戦に勝ったら東洋と聞いている。日時については会長とこれからですが、日本で挑戦することになると思う」と今後のプランを明かし、最後に「今日はパンチをもらわないつもりだったが、こんな顔になってしまった(笑)。もっとディフェンスを磨く必要がありますね」と"アジア最強の座"奪取に向け更なるレベルアップを誓った。

　王者・岩渕が圧巻のKO劇で"野獣退治"を成し遂げ、その強さを改めて満天下に知らしめる一戦となった。
　そして"倒し屋"が熱望するWBC世界スーパーライト級10位であり、東洋太平洋同級王者・金民旭(韓国)への挑戦は実現するのか…。