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[試合後会見]2012.10.29

藤岡、故郷への錦は…

 WBC女子世界ミニフライ級王者・藤岡奈穂子(T&H)の凱旋防衛戦。会場となった宮城県大崎市古川総合体育館には、宮城県初の世界王者を一目見ようと大勢のファンが来場し、同じ東北出身(岩手県)の世界王者・佐藤洋太(協栄)、藤岡と同階級のWBA王者・多田悦子(フュチュール)も応援に駆けつけた。また、宮城県出身の人気ロックバンド「ナイトメア」のボーカルYOMIが国家を独唱し、花を添えた。
右ストレートを打ち込む藤岡
 今回のV2戦は、挑戦者のWBC同級3位ビクトリア・アルゲッタ(メキシコ)が事実上の最強挑戦者となり、WBCからは指名試合として認められている。
 かつて、藤岡が世界王座を奪ったアナベル・オルティス(メキシコ)よりも実力が上と噂される21歳、無敗の挑戦者。その前評判通り、前王者を上回るパワーとスピード、なによりタフネスさを兼ね備え、凱旋興行を盛り上げる功労者となった。
 アルゲッタは149cmと小柄ながら体を振り、時折威力のあるワンツー・フックをヒットさせ中に入るチャンスを窺う。だが、序盤から攻守のメリハリよく距離を支配した藤岡は、KOへの期待が高まる中、3Rと7Rにダウンを演出し場内を熱くさせる。
V2防衛に成功
 相手の体を折る左ボディとキレのある右ストレートを武器にリングで躍動する藤岡は9R、フラつきながらも手を出し続ける挑戦者に右の一発を許すが、反撃もここまで。最後まで最強挑戦者に懐への道を閉ざし、98-90、98-90、99-90の大差判定勝ちで見事、故郷に錦を飾った。
 試合後、「生のボクシングを見てもらい戦ってて嬉しかった。感謝の気持ちしかない」と話す藤岡に客席から「ありがとう!」の声が届くと、被災地へ思いを寄せるその目に涙が光った。
笑顔を見せてくれたアルゲッタ
 初の黒星を喫したアルゲッタは試合を振り返り、「今の自分の実力は出せたと思う。懐に入って打ち合いたかったが、藤岡は強く上手かった」と王者を称え、「ボクシングが好きだから、まだまだ上を目指して上手くなりたい」と笑顔を見せた。
報道陣の多さにビックリ
 一方、無敗を守りV2防衛に成功した藤岡。会見では報道陣の多さに驚き、改めて注目度の高さを喜んだ。
 自己採点を75点とする藤岡は、この理由に「KOできなかった甘さ」と答えたが、「10R戦う姿を見せられたので、楽しんでもらえたかな。自分の本職でみんなを元気づけられて、本当に嬉しい」と語り、応援が力となり背中を押してくれたと話した。
今後は複数階級制覇!?
 今後については「まだ終ったばかりで何も考えていない」と答えたが、以前のインタビューでは「この階級に止まる理由はない。37歳の自分が、あと何年現役を続けられるか分からないが、強い相手を追い求めていきたい」と、複数階級制覇も視野に入れていると明かした。
 今や安定感では日本女子NO.1といっても過言ではない藤岡。凱旋興行を成功させた今、見据える先は…。

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