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[勝ち飯]2026.6.26

タレカツか、ソースカツか。元日本1位が守る高崎60年の味

タレカツか、ソースカツか。元日本1位が守る高崎60年の味

 美味い店には理由がある。そして長く愛される店には、人の物語がある。

 群馬県高崎市に店を構える「美ゆき食堂」。ソースカツ丼とタレカツ丼を看板に掲げ、地元に根付きながら創業60年を迎えた名店だ。

 現在、暖簾を守るのは元日本スーパーウェルター級1位の新井恵一氏。祖母が始めた店を受け継ぎ、5年前に3代目店主に就任した。20歳から店に立ち続け、3年前には店舗も建て替えた。

 営業時間は、11時から13時45分ラストオーダーのランチ営業のみ。理由は、夕方から群馬ARAI BOXING GYMで指導に立つためだ。リングを降りた今も、新井氏の勝負は続いている。

 2024年8月、日本テレビ系列のグルメバラエティ番組「オモウマイ店」出演をきっかけに注目は全国へ広がった。今では北海道から訪れる客もいるという。

 そんな話題の店を、筆者は20年ぶりに訪れた。

美ゆき食堂

住所:群馬県高崎市新町3037-1

アクセス:JR新町駅徒歩10分

電話番号:0274ー42-1337

営業時間:11:00〜ラストオーダー13:45

合い盛り丼
 暖簾をくぐる前から決めていたことがある。今日は両方食べる。

 極旨ソースカツか、秘伝タレカツか。久しぶりだからこそ、どちらかひとつは選べなかった。注文したのは、2つの味を一度に楽しめる合い盛り丼だった。

 運ばれてきた丼は、想像以上の存在感だった。
メニューはソースカツ丼、たれカツ丼、豚すじカツカレー!
 群馬産米「いなほっこり」の上に並ぶ揚げたての柔らかなヒレカツ。ソースカツは、オリジナル極旨ソースがたっぷり染み込み、口に入れた瞬間にコクが広がる。それでいて後味は軽く、次のひと口が自然と欲しくなる。

 もう一方の秘伝タレカツは、昆布と鰹だしを効かせた甘めの醤油ダレが特徴。しっかりタレが馴染んで、どこか懐かしく、まろやかな余韻が続く。
「より丁寧に作っている」
 新井氏の代になって変えたのはカツの大きさ。一方で、受け継いできたタレの味は守り続けている。

 「以前から丁寧に作っていたが、今はより丁寧に作る工程を心掛けている」。

 かつては出前も行う大衆食堂だったが、現在は店舗とテイクアウトに集中。その分、一杯一杯に向き合う。
美ゆき食堂
 食べ進めながら、記憶が少しずつ戻ってきた。

 20年ぶりに食べる味なのに、不思議と身体は覚えている。

 途中でタルタルソースやカラシを合わせると味が変わり、気づけば夢中でかき込んでいた。そして、カツが少なくなるたびに少し寂しくなる。食べ終わった頃には、美味しかったより先に、また来たいが残っていた。

 変わらない味ではない。変わらないために積み重ねてきた時間を食べた気がした。

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