日本Sウェルター級王座決定戦

　東洋王者チャーリー太田(八王子中屋)が返上し空位となった日本スーパーウェルター級王座を懸け、チャンピオンカーニバル王座決定戦"同級1位・中川大資(帝拳)vs同級3位・切間庸裕(折尾スポーツ)"が4日、後楽園ホールで行われた。
　試合は序盤、元日本ウェルター級王者・中川が右ストレートを突き刺してペースを掴みに出ると、後楽園初登場の切間は序盤こそ硬さが見えていたものの、3R以降は足を使いジャブ・ワンツーでリズムを刻み始めた。

　スピードで上回っていた切間だが、4Rに中川の左フックでグラつき、反撃に出ると接近戦では中川のパワーに圧されてしまう。中川はパンチをまとめ、9Rにはストップ寸前まで追い込むも勝利を急がず、相手のダメージを見極める。
　このまま判定で終るかと思われたが最終10R、勝負と踏み込んだ切間に、中川は側頭部に渾身の左フックを突さし遂にダウンを奪う。切間はこの一発で頭から倒れ、10カウントが数えられた。

　10R0分58秒。中川が決定戦を制し日本王座2冠を達成。10年8月に自身の怪我で返上し失った、日本王者の証を再び手にした。なお、倒れた切間は起き上がることができず、担架退場となった。

　試合後、控え室に戻った新王者・中川は、「ホッとした」と第一声。「戦いづらい相手だったが、対応は問題なかった。倒される怖さもなかったので、KOできなくても自分のペースで戦えると感じた」と試合を振り返った。

　2冠については「前回、怪我でベルトを返上した時は引退も考えたが、続けたいという自分の気持ちに嘘はつけなかった。怪我の功名じゃないが、こうして2階級獲れたことは嬉しい。このクラスは良く動ける」と笑顔でコメント。最後に今後について「世界まで行きたい。負けたら終りの気持ちで、防衛をクリアしながら上のレベルに挑みたい」と意欲を見せた。

　一時は引退を考えていた中川。しかし周囲の、なにより家族のサポートで練習環境が整い、王座に返り咲くことができたという。今回の勝利で周囲への恩に報いた中川は、今度は世界という自分の"夢"に向かって一歩を踏み出す。