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日本フェザー級タイトルマッチが25日、東京・後楽園ホールで開催された「Lemino Boxing フェニックスバトル 117」のメインイベントとして行われ、3度目の防衛戦に臨んだチャンピオンの松本圭佑(24=大橋)と、タイトル初挑戦の藤田裕史(34=井岡)が対戦した。
控え室に戻った松本は「穴があったら入りたい。自分はプレッシャーに弱いのかなと感じた。メインイベンターで新人達も入ってきて、負けていられないという気持ちが力みにつながった。良い試合をしなくてはいけないという思いと、やりづらさがうまくまとまらない、パズルがはまらなかった」と、反省の弁が口をついた。
試合に関して「倒し方のイメージは、右ストレートを中に入れるというイメージをしていたが、右を当てたいという気持ちが強すぎて、それを悟られてしまった。そればかりを狙ってしまって、そこから組み立てるとか崩すという考えが浮かばなかった。本来の自分のボクシングなら、そういうのができるはずなんですけど、そこが弱さなんだと思う。セコンドからは、こまめに打ってまとめてと言われていたが、一発当てたいという気持ちが強すぎて、それができなかった。インターバル中には、もっとシャキッとしろとビンタをされた」と振り返った。
序盤に藤田のパンチでバランスを崩す場面があったことには、「2回にもらったパンチは、引きずってはいなかったが、内容を振り返ると、結果的には引きずっていたのかもしれない。もらってしまったという気持ちを引きずってしまった。パーフェクトにやるというのがテーマだったが、それを意識し過ぎると、スキが出来た時に崩れてしまうので、色んなパターンを想定しておかないとダメだと思った。毎回負けられない思いでやっているが、今回は特にメインで倒すことを求められた試合だったので、それが先行しすぎた」。
ファンや関係者からは、世界初挑戦を期待する声も大きくなってきているが、「この内容では、まだまだ世界ランカーレベルではないので、1からボクシングを始めた頃を思い出してやりたい。今は世界なんて行っても遊ばれるだけだが、一歩ずつ進んでいくしかない。世界のランキングが上がってくると世界を意識はするが、意識し過ぎると自分のボクシングが出来なくなり、足元をすくわれるのを今日は実感したので、周囲がどうこうのという前に、自分の課題に向き合いたい」と、気を引き締め直した。
松本好二トレーナーは、父としても猛省を求めた!
厳しい顔で控え室に戻った松本好二トレーナーは、「最悪ですね。あれでは世界に行ける訳がない。身体の動き、パンチ、全部がダメですね。キレもない。何を練習してきたんだと。アマチュア最後の試合は、感情的になり過ぎてオリンピックを逃したのは、自分のせいかと思ったが、今日はあの時に近い感情だった。『こんなんだったらボクシングやめろと。やっている意味はない』と、今日はそのくらい思った」と厳しい言葉で叱咤した。
親子で世界を目指す覚悟も口にした。「世界を獲るというなら、ちゃんと(それなりの力を)見せないといけない。僕もヘタ打った試合はあったが、それでもストップまでは、もっていっていた。練習していても、出せなかったら意味はない。親としても、心配するくらいなら辞めてもらったほうがいい。いい加減にしろと。プロである以上、あれはダメ。パンチにキレがないなら手数を出すとか。親がそう思うんだから、お客さんはもっとイライラする。今日は父親として怒りたい。普段はあまり怒らないが。前田(稔輝=Gツダ)戦は良かったが、今日の内容では負けていた。やるんであればしっかりしないと。そうでないなら、やめたほうがいい」と父として、猛省を求めた。
大橋秀行会長の厳しい言葉は、期待の裏返し
大橋秀行会長は、「松本は1、2ラウンドで倒せれば世界という声も出たかもしれない」と切り出すと、記者から試合によってムラがあるのではないかーとの質問に「前回は良かったが、前々回は今日みたいな感じだった。お客さんもだいぶ途中で帰っちゃったしね。勝てばいいわけではない」と、注文をつけた。
悔しそうに控え室に戻った藤田は、開口一番、「上手かった」と、松本チャンピオンの率直な印象を口にした。「出たとこ勝負じゃないが、前に出ても上手く距離を取られた。しなりのある左のジャブ、リターンはしっかり仕込まれていて、今までの対戦相手達が、中に入れない理由がわかった。言い訳じゃないが、右目の手術をした影響もあり、4年ぶりにスイッチスタイルにして、不安もあったが試合は8割は度胸」と、試合を振り返ると、「頭ひとつ抜けている松本君という強いチャンピオンと試合が出来てよかった」と、プロ14年目で迎えたタイトル初挑戦に、スッキリとした様子でハキハキと語った。