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[紹介]2024.4.11

メキシコでボクシングの魅力を伝える

 元プロボクサーの渡邊大将(わたなべ・だいち)さんは、様々な縁が重なり、2021年からメキシコシティ・テピート地区のボクシングジムでトレーナーとして、ボクシングの楽しさを伝えている。

 渡邊氏は「以前は、プロ選手を指導したいと思っていたが、「今はここのジムで育てた子どもたちを、どこまでプロに押し上げられるかがモチベーションになっている」と言葉に力を込めた。
メキシコのジムでトレーナーとして活動
 17歳で浪速少年院に入院した渡邊氏は、目標もなく過ごしていたが、元プロボクサーの坂本博之氏の講演を聞きボクシングに興味を持ち、出所後に大阪帝拳ジムに入門。しかし、親しいトレーナーが辞めることになり、ジムを離れることになった。

 その後、知人の紹介でメキシコに渡り、トレーナー兼プロモーターの古川久俊氏と出会う。現地で半年間指導を受けた。帰国後、家庭の事情でボクシングから離れることになった。
メキシコ・テピート地区
 それから3年後に再びボクシングへの情熱を取り戻し、2006年にプロデビュー。しかし、網膜剥離の問題で2020年に引退し、その後メキシコで新たな挑戦を考えて活動拠点をメキシコに移した。引退後は、メキシコシティの「中南米で最も危険な場所」と、言われるテピート地区のボクシングジムで、トレーナーを務めることになった。

 テピートは、ジョー・メデルやカルロス・サラテ、ルーベン・オリバレスといった名選手がこの地域出身であることで知られている。今は、独学で身に着けたスペイン語で、7歳から21歳までの選手を指導している。
「テピートのボクシングを盛り上げたい」
 テピートでの活動を盛り上げる一環として、メキシコ製のボクシンググローブブランドのカサノバ(CASANOVA)のオンラインショップを立ち上げた。カサノバは、1948年創業の老舗で、ボクシング映画「ロッキー」の第一作でも使用された名門ブランドだ。「カサノバがさらに認知していけば、カサノバ製品を提供していくこともできる」(渡邊氏)
「活動の場を広げていきたい」
 今後はメキシコで10ヶ月、残り2ヶ月を日本で過ごしメキシコと日本のボクシングの架け橋の役割を果たすのが目標だという。「かつて世界チャンピオンを輩出したテピートの地を、再びボクシングで盛り上げたい。テピートの人たちが僕を慕ってくれるのは、日本人ボクサーとメキシカンボクサーが繰り広げてきた実績と歴史があるから」と先人が築き上げてきた偉業に感謝した。

 「国際的な仕事をしてこそ、僕がメキシコで活動する意味がある」。日本からメキシコに合宿に来るボクサーのアテンドや、テピード出身のボクサーが日本で活動するための手助けをしたいという。
4月20日(土)にジョーメデル杯
 渡邊氏は、毎年3月〜4月にアマチュアボクシング大会「ジョー・メデル杯」を開催している。今年は4月20日(土)に予定している。「日本のボクシング界と新しい交流をしながら、選手を育成していきたい」と電話口で熱い思いを伝えた。

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