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[試合速報]2023.7.25

井上尚弥!右ストレートが唸った。

 WBC・WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチが25日、東京・有明アリーナで開催された。赤コーナーからリングに上がったのは、2団体統一王者のスティーブン・フルトン(29=米国)。青コーナーに陣取ったのは、同2団体ともにランキング1位の井上尚弥(30=大橋)。井上が青コーナーからリングインするのは、2018年5月25日に当時のWBAバンタム級世界王者のジェイミー・マクドネル(37=英国)に挑戦して以来、5年2ヶ月ぶり。ジミー・レノンJr.のコールで、会場はヒートアップした。

8ラウンド1分14秒TKO
 中間距離でのプレスの掛け合いが続く神経戦。有明アリーナのボルテージを一気に上げたのは、左ボディを叩いた後に放たれたモンスターの右ストレート。フォローの左フックを振り抜くと、思わずフルトンがダウン。立ち上がったチャンピオンに井上尚弥が、パンチをまとめると、レフェリーが割って入って試合を止めた。

 試合直後のリング上で、マイクを向けられた井上は「僕がいまこの手に持ってるベルトは2本です」と、リング下で試合を生観戦していたWBA・IBF世界2団体王者に声をかけると「自分がチャンピオンだということを証明したいので、井上と戦いたい」と応じたタパレス。「年内に4団体統一戦をやりましょう」と、モンスターも2階級4団体統一戦を呼びかけた。

 リングに2本のベルトを掲げて上がったタパレスと、2本のベルトを手に入れた直後の尚弥が、ボクシングファン待望のビッグマッチの実現を誓い合った。
タパレスもリングに上がった!

 試合後会見の場で、開口一番「残念だ」と切り出したフルトンは、井上と対戦した感想として「グレートファイターだった。今日は彼の方が強かった」と勝利を讃えた。

スティーブン・フルトン(米国)
 試合に関しては「打ってきたパンチは見えなかった。井上は、パワーというよりは、タイミングが良かった。(敗戦の理由は)井上の問題ではなく。自分の問題だ」と述べ、「チャンピオンという気持ちに変わりはない。王座陥落したからといって、塞ぎ込む必要はない」と気丈に振る舞った。
 
 
採点表

 フルトン戦を振り返った井上は「スーパーバンタム級でもやれると思う」と新たな階級でも、これまで通りにファンの期待に応えられると手応えを感じていた。

 会見に同席した井上真吾トレーナーも、1ラウンドのジャブの差し合いで勝ちを確信していたことを明かした。

 フルトン対策に関して「序盤はポイントを譲らず、しっかり戦って、フルトンが出てくる展開を作った」と切り出すと、足を止めてジャブの差し合いで勝つことに重きを置いていたことを明かした。勝負の分かれ目は「距離感」。勝負を決めた左ボディからの右ストレートは、狙っていたコンビネーション。「一瞬の隙をついた」と笑顔で語った。

モンスター陣営。
 井上尚弥にとってスーパーバンタム級初戦は、バンタム級時代と同様に、当日の体重は60.1kgだったことを明かした。ただ、パンチを打つ時の体重の乗りなど、従来以上の力を発揮できたことを報告した。

 今後に関しては、「こちらはやる気でいるので、タパレス陣営と交渉がまとまればできる」と、年内に4団体統一戦が出来ることを願った。

 会見に同席した大橋秀行会長は、「KOと判定では、全然違う」と技術戦を制した上で、KOで勝利を収めたモンスターの偉業を称え、「年内に4団体統一戦が出来るよう、すぐにも動き始める」と述べた。

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