崖っぷち男・加藤寿がラストチャンス!

　日本スーパーウェルター級6位の安達陸虎(24=大橋)と加藤寿(36=熊谷コサカ)が29日、後楽園ホールで開催された「フェニックスバトル.89」スーパーウェルター級8回戦で対戦した。

　明日、6月30日(木)にボクサー定年となる37歳の誕生日を迎える加藤にとって、ランキング入りすることが現役続行の条件となる。6度目のランカー挑戦の加藤の運命はーー。

　加藤がアップセットを起こした! 2回、パンチが交錯する中、加藤が左ストレートを決めてダウンを演出。立ち上がった安達に襲いかかると、左ストレートで倒してレフェリーストップに持ち込んだ。

　「やっとランカーですよ!」。プロデビューからちょうど16年目で、念願のランキング入りを確実とした加藤は喜びを爆発させた。「相手が右を振ってきたので、左を合わせた。効いているかどうかはわからなかったが、セコンドを見たらGOサインが出ていたので、仕留めにいった」と試合を振り返った。

　勝てば現役続行、負ければ引退というギリギリの戦いに勝ち残った。「最高の誕生日になりますね!」と声を弾ませた。

　これまで何度もランカーの高い壁に跳ね返されてきた加藤にとって、2022年は勝負の年だった。しかし、1月に予定されていた試合の1週間前に、左足アキレス腱を断裂。医者からは「半年間は動けない」と言われたが、驚異の回復を見せてリングに上がった。

　怪我を負った後、同門で後輩ボクサーの長谷川優太(22)の父から「今後、着るかわからないが…」と、1月の試合前にサプライズで渡す予定だったガウンをプレゼントされたという。「励みになった。絶対に治して復帰しようと思った」。加藤はそのガウンを着てリングに上がった。

　日本ランカーの仲間入りを果たした加藤は「自分には時間がない。チャンスが来るなら、すぐにでも挑戦したい」と日本王座挑戦を熱望した。

　最後に加藤は「挑戦が決まったら、熊谷のジムまで(取材に)来てくださいね」と笑顔を見せた。