神戸は意地がぶつかり合う熱戦!

　千里馬神戸ジム主催の「千里馬SUPER FIGHT 63」が兵庫神戸芸術センターで行われ、メインイベントの53.0kg契約8回戦では徳山洋輝(30=千里馬神戸)と那須亮祐(26=グリーンツダ)が拳を交えた。

　両者は昨年8月以来の対戦で、前回は那須が判定で勝利を収めている。徳山がリベンジを果たしたのか、那須が返り討ちにし連敗を脱したのか?試合に掛けるそれぞれの熱い思いがぶつかり合う激戦を勝ち抜いたのはーー。

　昨年8月以来の再戦。足を使いフェイントをかけながらステップインのワンツーで仕掛ける徳山に那須は打ち終わりに右カウンターを狙い、丁寧にジャブでリズムを作った。リズムを変えようとサウスポーにスイッチした徳山はプレスで攻勢をかけるが、4回に偶然のバッティングで右瞼をカットした。クロスレンジで互いにボディを削り、魂と魂のぶつかり合いになった。最後まで打ち合った一戦は二者が徳山を支持。見事リベンジを果たし、試合後、徳山はリング上で歓喜の雄叫びをあげた。

　雪辱を果たした徳山は「判定を聞くまで(勝敗は)微妙だったので勝てて本当によかった。ホッとしました」と安堵の表情を浮かべた。再戦はやはりやりづらかったと言い「負けた側から簡単に『また試合をして欲しい』とは言えないが、千里馬会長やマネージャーが試合の機会を作ってくれて…、そして今回対戦を受けてくれた本石会長や那須選手、みんなに本当に感謝しています」と感謝の意を口にした。

来年の5月が勝負!

　来年5月に奥さんが第一子を出産予定という徳山は、6回にもらった左ボディが効いてそこで怯みそうになったが「6回終わった時にマネージャーから、ここで勝たないとどうする!生まれてくる子供のために勝て!」と檄を飛ばされたことを明かすと「これは絶対に負けない」と奮起し、見事勝利を掴み取った。

　来年5月にジムの自主興行が予定されているそうで「次戦はランキングが上の選手との対戦になると思うが、決まった試合に全力で挑み勝っていくだけです。5月は子どもの誕生もあるので必ず勝ちます! 勝利のために頑張ります」と笑顔を見せた。

　セミファイナル、フェザー級6回戦では高原裕之(30=千里馬神戸)と二瓶竜弥(23=DANGAN郡山)が激突した。二瓶はガードを上げて前に出るとジャブ左フック、左ボディ、右ストレートで主導権を握る。高原はサークリングしながらタイミングを測り、ガードの上から右フック、右ストレートを狙うが二瓶のプレスで距離がなかなかつかめない。4回、二瓶は打ち下ろしの右ストレートで膝を揺らすとジャブで顔を弾き、ポイントを稼いだ。最終回、高原も上下にパンチを繰り出し右フックで顔を弾くが、二瓶も打ち負けず、最後まで打ち合った。ジャッジは2者が二瓶を支持し、敵地で貴重な勝利をつかみ連敗を脱した。

　神戸で貴重な勝利をもぎ取った二瓶は、パンチのある相手に「特にやりにくさは感じなかった」。「相手はガードを固められると嫌がってる感じがあった。そして今日はジャブがよく当たった。左ボディ、左フックも良かった。4回に右ストレートで相手がぐらついたので、そこから残りラウンドは一発に気をつけてガードを固めながら戦った」と激戦を振り返った。B級に昇格して連敗を喫し足踏みをしていた中でこのままの戦術ではいけないと、ジャブに磨きをかけて今回に挑んだという。「次戦に勝つとA級に昇格するので、また頑張ります」と決意を新たにした。

福島県から参戦し勝利

　鈴木拓也会長は「今回の高原選手はフットワーク、ジャブのスピードを警戒していて、特に右と左フックを気をつけて試合に入らせた」。「今日の二瓶は頭も振れていたし、ポジショニングも良くていつでも詰めれる位置にいた。ジャブもよく機能していた」と愛弟子の出来を評価した。「あと1勝でA級に昇格するので、まずは次戦勝ちをつかんで欲しい」と今後の奮起を期待した。

　第5試合の62.0kg契約6回戦では、岸田聖羅(23=千里馬神戸)と高橋良季(26=オール)が対戦。両者ともジャブでの距離の探り合いで入った試合は、2回に幕切れが訪れる。岸田はワンツーで前に出ると強烈な右ストレートで倒した。立ち上がった高橋に岸田は攻撃の手を緩めず前に出ると、手が出なくなった高橋を見てレフェリーが間に入り試合を止めた。

　A級昇格を決めた岸田は「勝てて嬉しいです!試合前から相手はパンチがあると聞かされていたので、気持ちで負けないようにしていた」と言うと、「KOを狙ったわけではなく、判定でフルマークで勝てるくらいの気持ちでいた」。「1ラウンドに良い右ボディを2回当てた時に相手が怯んだ顔をしたので、それから自信持って戦った」と試合を振り返った。

「自分はパンチがあるわけでなく、スキルで魅せる選手だと思っています。これからも技術を磨いて、歴史ある千里馬神戸ジムで一番インパクトある魅せる選手になりたいです」と笑顔で決意を口にした。