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井上尚弥(27=大橋)が9日、オンラインによる次戦の発表会見を開いた。現在、バンタム級 WBAスーパー王座とIBFの世界王座を統一している世界3階級制覇王者の井上は当初、WBO世界王者ジョンリエル・カシメロ(29=比)陣営と3団体統一戦に向けて準備を進めていたが、コロナ禍の影響で今回は実現に至らなかった。一方でバンタム級の枠を超えて世界の軽量級を牽引するまでに知名度を上げた日本が誇る「モンスター」に対してはチャレンジに名乗りを挙げる選手が後を絶たない。昨年行われたWBSS(ワールドボクシングスーパーシリーズ)決勝でノニト・ドネア(比/米)から勝利を挙げてバンタム級最強と称されてからは、世界中のボクシングファンならびに関係者が井上の動向に注目してきた。この日の会見を待たずして、海外の主要ボクシングメディアが一斉に井上の次戦決定のニュースをトップで伝えたのが何よりの証だ。
次戦は井上が持つ2本のベルトが懸けられる。気になる相手は、ジェイソン・モロニー(29=豪州)に決まった。主要4団体の最新世界ランキングではWBA3位・WBC5位・IBF4位・WBO1位と全てで上位に入っている。2014年8月15日のプロデビュー以降、22戦21勝(18KO)1敗の好成績を残しておりKO率も81%を超えている。警戒が必要な相手であることに異論はない。注目の一戦は米国ラスベガスにあるMGMグランドコンファレンスセンターで、10月31日に開催される。モロニーは元WBA世界スーパーフライ級チャンピオンで引退した河野公平氏の現役ラストマッチの対戦相手で、6ラウンド終了時TKO勝利を収めている。
対戦相手の変更にモチベーションの低下が懸念されたが「カシメロよりも穴がない。タフでスタミナがあって技術も高い。総合的な能力はカシメロよりも高い」とモンスターは気を引き締めた。3団体統一戦は延期となったが、当初予定されていた4月の時点では昨年のドネア戦で負ったケガが完治していなかったため「万全の状態で試合ができないことに不安があった」と明かした。それでも、コロナ禍の影響で4月から試合に向けた臨戦態勢は続いていたという井上は「いつでも1カ月後には試合ができる準備をしていた。自分にはプラスになる期間だった」と春先からこれまでを振り返った。
井上本人が「あと8年」というキャリアの折り返しをラスベガスで迎えるが、チャレンジスピリットに陰りはなく「もっともっと評価を上げていきたい」と決意を語った。この日の会見に同席した大橋秀行会長は「重要な試合。これからが井上尚弥のスタート」と、いよいよメジャーデビューするモンスターの背中を押した。
規定ギリギリとなる試合の2週間前に渡米する井上陣営だが、井上真吾トレーナーは「国内でしっかりと準備する」と今後のプランを述べた。スパーリングパートナーに関して大橋会長は「スピード重視でパートナーを選んだ」とし、同門の桑原拓(25)、石井渡士也(19=REBOOT.IBA)、千葉開(27=横浜光)の3名を挙げた。
ラスベガスデビュー戦は無観客試合が予定されているが、前回は観客2万人の前で戦ったとあって「どんな感じになるか気になった」と無観客で試合をした従兄弟の井上浩樹(大橋)の日本タイトル戦を参考に「集中力とピンチを迎えたときの心の持ち方」がカギになると述べた。
コロナ禍の影響で試合日程も対戦相手も変更となったが、モンスターのラスベガスデビューを今、世界中のボクシングファンが楽しみにしている。