岩佐亮佑「ラストチャンスだと思っている」

　元IBF(国際ボクシング連盟)スーパーバンタム級王者で現1位の岩佐亮佑(29=セレス)が12日、所属ジムで会見を開き、12月7日(日本時間8日)に米国ニューヨーク州ブルックリン、バークレイズ・センターでマーロン・タパレス(27=比)とIBF同級暫定王座決定戦を争うことを発表した。
　この試合は、WBA・IBF統一王者ダニエル・ローマン(米)が肩を負傷したことにより、今年2月に米国ロサンゼルスでセザール・フアレス(メキシコ)との挑戦者決定戦を制した岩佐と3位タパレスにIBFから暫定王座戦の指令が出たもの。岩佐は「暫定になったが、いつ決まるのだろうと思っていたので、世界に返り咲くリングが決まって良かった。気持ちが引き締まった」と心境を語った。

　元WBO世界バンタム級王者のタパレスは岩佐と同じサウスポーで、15年12月に京都で大森将平(ウォズ)との挑戦者決定戦に勝利し、翌年7月にタイで世界王座を獲得。17年4月に大森を挑戦者に迎えた初防衛戦で計量失格により王座を剥奪されたが、試合は行われ11回TKO勝ちを収めた。戦績は35戦33勝(16KO)2敗。

　29戦26勝(16KO)3敗をマークする岩佐は左構えに対しての苦手意識はないが、3つの敗戦はすべてタイトルマッチでサウスポー選手に喫しているだけに警戒心は強い。そのため、来週から始まるバンタム級世界ランカーのマイケル・ダスマリナス(比)、OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級4位マーク・アンソニー・ヘラルド(比)を招聘しての本格的なスパーリングで万全の対策を図る。

　特に昨年8月のTJドヘニー(アイルランド)とのV2戦は、岩佐陣営の予想に反した技術戦となり、岩佐はペースが掴めないまま判定で敗れ世界王座から陥落。このため、陣営は今回、相手への固定観念を捨て、ファイターのタパレスが足を使ってくることも想定する。

　会見に同席したセレス小林会長が「ドヘニーに負けてから向上心が高くなり、普段の練習の取り組みからして違う。岩佐は今まで一番強い」と期待を寄せると、岩佐は「いろんな方が動いて実現した試合。次はない、ラストチャンスだと思って何がなんでもベルトを獲りに行く」と決意した。

　また、先日のWBSSバンタム級決勝戦を会場で観戦した岩佐は、試合中に右目眼窩底と鼻を骨折しながらも、キャリア初のアクシデントを乗り越え歴史的勝利を飾った井上尚弥(大橋)を絶賛。「前世でいろんな修羅場を潜り抜けてきたとしか思えない。僕は痛いのが嫌だが、刺激になった」とさらなる闘志をかき立てていた。