東京五輪代表候補が井上尚弥の強さを語った!

　WBA(世界ボクシング協会)、IBF(国際ボクシング連盟)バンタム級王者の井上尚弥(26=大橋)が27日、横浜市内の所属ジムで報道陣に練習を公開した。11月7日(木)にさいたまスーパーアリーナで開催されるWBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)決勝戦でWBA世界同級スーパー王者のノニト・ドネア(36=比/米)と対戦する井上のスパーリングパートナーとして来日中の東京五輪フェザー級代表候補のジャフスリー・ラミド(19=米)が井上兄弟の印象を口にした。

　この日、井上は元日本ランカーの中澤奨(27)との3ラウンドのマスボクシングを披露。テンポの良い攻撃を繰り出すと、右を合わせパンチのタイミングを測った。さらに打ったら素早く移動し、前回の公開練習と同様、ディフェンスを意識した内容を見せた。その後のミット打ちでは、ジャブ、バックステップの基本動作から強烈な右アッパー、左ボディ。ガードして左フックから左ボディを叩き込んだ。

　井上とラミドは昨日までに合計4度のスパーリングで20ラウンドを消化。囲み取材に応じたラミドは、「(井上は)世界3階級制覇しているだけあってやはり強い。ジャブがしっかりと出ていて、左右ともにパンチが強烈。しかもディフェンスが素晴らしいのでパンチを当てるのが難しい」とモンスターの強さを説明。4回目の実戦練習では左ボディで倒されたことを明かした。
　ラミドはアマチュア120戦100勝20敗、全米フェザー級ランキング2位で来日前にはパウンド・フォー・パウンドランキング1位で3団体統一世界ライト級王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)のスパーリングパートナーを務め、1ラウンド4分、合計130ラウンドのスパーリングをこなした米国期待のホープだ。
　ロマチェンコとは130ラウンドのスパーリングでダウンは1度だけ、対して井上は20ラウンドのスパーで1度ダウンを奪っており、ロマチェンコが要したラウンドよりはるかに短いラウンドで倒したことになる。

　練習を終えた井上は、「(ラミドは)1〜2ラウンド目はスローでくるが、3ラウンドからギアを上げてパンチの角度を変えてくるのでラウンドごとに考えさせられる。スタイルはドネアに似ていないが、(ドネアも)キャリアがあり、ラウンドごとに戦法を変えてくるので対応力という面で練習になっている」とトップアマとのスパーリングでの収穫を口にした。

　ドネアが得意としている左フックには特に警戒の色を強めているようで、「ドネアが倒せるパンチは左だけではないが、左に対する反応をより高めている。ドネアの左フックは自分から打つのではなく、相手を誘ってから打ってくる左フックなので自分が誘われるのか、逆に誘うのか。そこを考えながらやっていきたい」と話し、「ガードを意識しながら(ガードが)追いつかない時は何かしらの方法でディフェンスしたい。右ストレートは不用意に打たないようにしたい」と気を引き締めた。

　ラミドとは明日、最後のスパーリングを終えて終了。その後はフィリピンからパートナーが来日予定だという。プライベートで仲の良いWBA世界ライトフライ級スーパー王者の京口紘人(ワタナベ)が3日後に大阪で世界戦を控え、そのことに話が及ぶと、「勝って祝勝会で行く焼肉は、前回はご馳走したので今回は奢ってもらう。でも、ここまで京口に奢ってもらったことがないので、それを奢り続けるのもいいかな」とおどけてみせた。